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U-17代表に感じた
日本サッカーの光明。
~ワンタッチ信仰からの解放~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byMasako Sueyoshi

posted2009/06/09 06:00

U-17代表に感じた日本サッカーの光明。~ワンタッチ信仰からの解放~<Number Web> photograph by Masako Sueyoshi

最年少記録を次々更新しているG大阪の宇佐美貴史。練習試合でも中心選手として活躍した

 ワンタッチ信仰が強すぎはしないか。最近の日本のサッカーを見ていて、そんなことが気になっている。

 確かに、ポンポンとワンタッチでパスがつながる攻撃は痛快だ。しかしその一方で、ワンタッチを意識するあまり、慌ててパスミスしたり、相手の厳しいプレッシャーを怖がり、ワンタッチで逃げてしまったり、と悪しき習慣をも助長しているように思えてならない。

逃げのワンタッチがU-19の敗北を招いた。

 唐突にこんなことを言い出したのには、理由がある。U-17代表を見ていて、思わぬ発見があったからだ。

 5月中旬に行なわれた練習試合で、U-17代表はFC東京、明治大と対戦し、いずれも敗れた。だが、結果はこの際、どうでもいい。目を引かれたのは、概して自分たちより体が大きい相手に厳しく寄せられても、選手たちが慌てることなくボールを扱っていたことだ。

 彼らの落ち着きのベースにあったのは、ツータッチ。すなわち狭いスペースでも冷静にボールを止めて、パスを出す。また、ときには自ら仕掛ける。結果としてボールを失うこともあるのだが、少なくとも、慌てて相手選手にパスしてしまうようなミスはほとんどなかった。

 例えば、昨秋のアジアユース選手権。U-19代表は準々決勝で韓国に敗れ、世界行きを逃した。A代表選出により準々決勝を欠場した香川真司は後日、VTRで見た試合の感想をこう話している。

「韓国のプレッシャーにビビってましたね。落ち着いてパスをつなげてなかった」

 それは日本の若年層に特徴的なことと考えていたが、現段階でのU-17代表に、そんな様子は見られないのである。

ツータッチで選手の成長を促す池内監督の手腕。

 監督の池内豊の姿勢もおもしろい。

「チーム作り? それ、しなきゃいけないかな」。際どい発言にも聞こえるが、もちろん、この年代では最大限に個々の成長を促したいという意味である。

 3人目の動きなどという気の利いたものはない。結果、連続してワンタッチパスがつながるようなシーンもなかった。だが、むしろワンタッチに頼らないからこそ、選手個々の技術の高さ、ひいては落ち着きが感じられた。

 もしこれが、ここに選ばれた選手だけのことではなく、世代全体に共通する傾向だとしたら、日本の若年層もまんざら捨てたものではないと思う。

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