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対岸の火事ではない
アルゼンチンの“異変”。
~サッカー五輪予選敗退の教訓~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2011/04/18 06:00

対岸の火事ではないアルゼンチンの“異変”。~サッカー五輪予選敗退の教訓~<Number Web> photograph by KYODO

U-22日本代表は、3月末にウズベキスタンと親善試合を行なったが、1勝1敗に終わる

 4年に一度の大会で、3連覇を成し遂げることは至難の業だ。事実、サッカーで五輪の3連覇は例がない。だからこそ、来年のロンドン五輪では、アテネ、北京と2連覇中のアルゼンチンが前人未到の大記録を達成できるかどうかは、焦点のひとつとなるはずだった。

 ところが、である。五輪開幕を1年以上も前にして、その可能性は早くも完全に消滅した。理由は明快。アルゼンチンが、ロンドン五輪への出場権を逃してしまったからである。

 なぜ、これほど重大な出来事が、かくも人知れず起こっていたのか。原因はひとえに、その予選方式にある。

 南米の場合、前回(北京)から特に予選は行なわず、「五輪開催前年のU-20南米選手権が五輪予選を兼ねる」ことになった。つまり、今年1、2月に開かれた同選手権で、上位4カ国に今年のU-20ワールドカップへの出場権を与え、同時に、上位2カ国にはロンドン五輪への出場権も与えてしまったのだ。

 ここで優勝したブラジルは、2位のウルグアイとともに、ふたつの出場権を一挙に手にした。だがその一方で、3位に甘んじたアルゼンチンは、U-20ワールドカップ出場こそ確保したものの、3連覇がかかるロンドン五輪へは出場できなくなった、というわけだ。

日本も2大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃している……。

 もちろん、U-20の大会を五輪予選にしてしまうことへの疑問はある。あまりにも“やっつけ仕事”が過ぎる。だがそれにしても、'05、'07年U-20ワールドカップ、'08年北京五輪と、年代別世界大会を総ナメにしていたころを思うと、アルゼンチンのお家芸だった若手の育成に、陰りが見えると言わざるをえない。振り返れば、すでに2年前、U-20ワールドカップでも本大会出場を逃している。

 最近、カルロス・ビラルド('86年ワールドカップ優勝時のアルゼンチン代表監督)に会う機会があったという、ある外国人指導者から、彼の名将も嘆いていたという話を聞いた。曰く、「アルゼンチンでは、才能のある若い選手が少なくなっている」のだそうだ。

 世界屈指のタレント生産工場である、アルゼンチンに起きる異変。地球の裏側の出来事とはいえ、2大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃している日本にとっては、決して対岸の火事ではない。

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