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人望でチームを構築する
引退後のルイ・コスタ。
~ベンフィカが絶好調の秘密~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2009/11/20 06:00

ミランでカカにポジションを奪われて'06年にベンフィカへ移籍。古巣でキャリアを終えた

ミランでカカにポジションを奪われて'06年にベンフィカへ移籍。古巣でキャリアを終えた

 ベンフィカ好調の理由はルイ・コスタにあり――。

 先日、取材で訪れたリスボンでこんな声を耳にした。

 2008年に現役引退した元ポルトガル代表MFは現在、古巣ベンフィカのスポーツ・ディレクターを務めている。

 エンジ色のタイが映えるスーツ姿。憎めない笑顔は現役時代と変わらない。

「この仕事には大きな責任が伴う。技術の高い選手の揃ったコンパクトなチームを作りたい」

アイマール獲得に表れるルイ・コスタの慧眼。

 引退後、すぐに同職に就任すると、ルイ・コスタは自らの色を出していく。

 なかでもパブロ・アイマールの獲得は彼の眼力と熱意が表れたものだった。

“ピークは過ぎた”といわれ、サラゴサでくすぶっていたアイマールの獲得にはクラブ内で反対意見も多かった。しかし、ルイ・コスタは「アイマールは現代サッカーに残る最後の10番だ」と反対を撥ねのけ、クラブのビエイラ会長を説得。650万ユーロの移籍金の捻出に成功している。

 一方で、移籍を決めかねていたアイマールには直筆の手紙を送り口説いたという。その手紙には、チームの中心にアイマールを置く攻撃的サッカーで国内外でタイトルを目指すこと、そして自らの背番号10を彼に譲り渡すつもりであることが綴られていた。

 アイマールは「ルイ・コスタの存在は大きかった。ベンフィカに来てほしいという熱意が響いたし、今いいプレーができているのも彼のおかげ」と語っている。

 アイマールだけではなく、選手からの人望は厚い。今夏ベンフィカにやってきたハビエル・サビオラも「ルイ・コスタの存在が移籍の決め手だった」と話す。

得点力は向上。ベンフィカがルイ・コスタ色に染まる。

 現代サッカーにおいては消えつつあるトップ下のポジションを置くジョルジュ・ジェスス監督を起用したのも、ルイ・コスタ色が出ていると言える。アイマールが同ポジションを謳歌する姿を、かつての10番はどう見ているのだろうか。

 今季のベンフィカは開幕から1試合平均で3点以上を決めるなど、彼が進める攻撃的チームの構築は実現しつつある。

 今ではベンフィカの将来の会長候補とも言われるルイ・コスタ。仕事場はピッチからクラブ事務所のデスクへと変わっても、その影響力は昔のままだ。

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