リーガ・エスパニョーラの愉楽BACK NUMBER

スペインを支える“100年の育成術”。
サッカーU-17W杯3位の実力とは? 

text by

中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

PROFILE

photograph byFIFA via Getty Images

posted2009/11/21 08:00

スペインを支える“100年の育成術”。サッカーU-17W杯3位の実力とは?<Number Web> photograph by FIFA via Getty Images

試合序盤から速いテンポのサッカーで攻めたナイジェリアは、前半30分にGKとの1対1の局面を作り先取点。後半になってようやくボールを支配し始めたスペインだったが、最後まで身体能力の差が埋まらないままの敗戦となった

 U-17ワールドカップで3位となったスペイン代表。すでにビルバオでトップチームデビューを果たしているムニアインを擁していたものの、今回のチームはボージャン、カマーチョらを擁して準優勝した前回大会よりも戦力は低いと見られていた。しかし、前回大会に迫る3位に進出したことは、評価できる結果といえるだろう。

 グループリーグのアメリカ、UAE、マラウィ戦に3連勝し、ベスト16のブルキナファソ戦は4対1と完勝。そして、ベスト8のウルグアイ戦では3対3の末にPK戦を制して準決勝進出を果たした。

 だが、準決勝のナイジェリア戦では身体能力の差を埋めることができずに、試合序盤から劣勢に立たされ前半30分に先制を許すと後半には2点を追加されて1対3で敗れた。前半早々にエースのムニアインが負傷退場する不運があったものの、スピード、持久力、パワーで上回るナイジェリアに対し、各局面で圧倒されたのは明確で、それは1対3という結果にも反映されることとなった。

「代表での戦い方はU-17で教え込まれた」とシャビは語る。

 スペインの失点は、ナイジェリアのプレスを受けてボールを失い、帰陣するために長い距離を走った後に、危険なスペースをカバーすることができずに奪われたものだった。ナイジェリア選手のスピードに追いつくために全力疾走を繰り返したスペイン選手達は明らかに息が上がっていて、ペナルティエリア内に侵入されても体が動かずにミスを連発するという状態だった。

 ナイジェリアに対してまさに完敗だったU-17スペイン代表だが、この試合のビデオを観たA代表のシャビ・エルナンデスは後輩達のプレーをこう分析した。

「まず、ナイジェリアと同じようにプレーしてしまったことがスペインの持ち味を出せなかった原因。スペインよりもナイジェリアの方が明らかに身体能力では上だったのだから、よりボールを保持するために確実性の高いプレーを選択するべきだった。

 この試合のスペイン選手達はナイジェリアのプレッシャー、身体能力の高さに対して、プレーを急いでしまっていた。そうすると、心拍数が上がりプレーの正確性は落ちてしまうし、余計に体力を消耗するようになってしまう。そうなれば、体力で勝るナイジェリアはより思うようにプレーできるようになる。

 ただ、この世代ではナイジェリア選手達のような対戦相手とスペイン国内で戦うことは少ないから、選手達が戦い方を知らないのは仕方ない。どうしても、国内でプレーしているような感覚でプレーしてしまう。

 俺たちがユースの頃にも同じような試合運びをしてしまったことがあるから、今のU-17の選手達の気持ちはよくわかる。ただ、監督のヒネスはしっかりと修正すべきことを伝えたはずだ。俺たちもそうやって代表での戦い方を教え込まれてきたからね」

<次ページに続く>

► 【次ページ】  ユース指導歴30年以上のヒネス監督はA代表の“先生”。

<< BACK 1 2 3 NEXT >>
1/3ページ
関連キーワード
ムニアイン
シャビ・エルナンデス
セスク・ファブレガス

ページトップ