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25歳の新人、高谷裕亮が城島健司の後を継ぐ。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2007/03/22 00:00

 「ひとりの捕手を育て上げたら10年間は安泰」と言われるプロ野球界。常勝球団には、必ず頼れる正捕手の存在があった。ソフトバンクホークスの繁栄は、城島健司の存在抜きには語れない。進学希望だった城島を、王貞治監督自ら別大付属高に出向いて獲得したことがすべての始まりだった。

 城島がメジャーに行き、後任探しがホークスの至上命題となったのは一昨年オフのことだ。それからというもの、'05年は1巡目で荒川雄太(日大高)、'06年は3巡目で高谷裕亮(白鴎大)と、2年続けてドラフト上位で捕手を指名している。

 今年の新人、高谷の存在は面白い。栃木の小山北桜高という無名校から、一度は富士重工入りしたが、故障を機に2年で退社。その後、「将来を考えて大学を出た方がいい」と、浪人して一般受験で地元の白鴎大に入った異色の経歴の持ち主である。プロ入りまでに苦労してきただけに、新人らしからぬ落ち着きがあり、それが評価されている。今は、的場直樹、山崎勝己、領健と正捕手の座を争っているが、開幕マスクの可能性も十分にある。大石友好バッテリーコーチは、「新人といっても25歳だから、周りが見えている」と褒めていた。

 キャンプでは、積極的に先輩投手とコミュニケーションを取る姿が、度々見られた。エース・斉藤和巳の球を受けた後、「投げにくいところがあれば言ってください」と語りかけ、和田毅や杉内俊哉の投球後にもマウンドにかけよって、アドバイスを求めていた。「ピッチャーには気持ちよく投げてもらいたいですから。教わりながら学んでいきたい」

 特筆すべきはバッティングだ。新井宏昌打撃コーチは、「手首が柔らかくて面白い」と評価し、王監督も「左打ちは貴重だよ」と言っていた。高谷自身、「捕手は打撃より守りが大事」というのは十分に分かっている。しかし、生き残るためには打撃も大事ということも、十分に意識している。

 キャンプ中、捕手は特打ちの順番が遅いので、ホテルに戻るのは連日一番最後になる。それでも「こんなに練習したのは初めて」と、目を輝かせる。

 日本一奪回を狙うホークスのカギを握る新戦力。高谷の躍進で「10年間の安泰」といけるかどうか。

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