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16戦16勝15KO。大月晴明、強さの秘密。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byTakao Masaki

posted2004/05/06 00:00

16戦16勝15KO。大月晴明、強さの秘密。<Number Web> photograph by Takao Masaki

 キックボクシングが息を吹き返してきた。相変わらず団体は乱立するなどキック界全体を取り巻く状況は複雑だが、業界を引っ張る全日本キック連盟や新日本キック協会の定期戦になると、会場となる後楽園ホールはいつも超満員だ。その起爆剤となっているのはライト級。なかでも全日本キックは選手層が厚く、“爆腕”大月晴明(AJ)を筆頭に、モンゴリアンファイターの白鳥忍(高橋道場)、“野良犬”小林聡(藤原)と、このクラスの宝庫なのだ。

 大月の強さの秘密は独創的な闘い方にある。構えの基本はキックボクサーに多いアップライトスタイルではなく、ノーガード。ステップは前足でトントンとリズムをとるものではなく、摺り足が基本だ。思いつきでそうなったわけではない。ノーマルなキックの闘い方ができないわけでもない。ここ数年練習を重ねている合気道やボクシングをキックに応用した結果、現在の闘い方に落ち着いたのだ。ノーガードの体勢からは得意のオープンフックを打ちやすい。合気道の基本である摺り足は相手の死角から最短距離で近づく最も有効な手段になる。

 おまけに大月は対戦相手の試合ビデオを飽きるほど観て対策を立てるほどの研究家だ。当然、フェイントのかけ方もうまいから、対戦相手は来ることがわかっていても必殺のバックブローをもらってしまう。一見ワイルドに見えて、実は緻密。強くなるために一番必要なものは何かと水を向けると、大月は自分の頭を指さした。キック界きっての頭脳派は、従来の常識にとらわれることを嫌う。

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