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コスプレで入場するキックボクサー、
自演乙。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byKeizo Takasaki

posted2009/01/29 00:00

コスプレで入場するキックボクサー、自演乙。<Number Web> photograph by Keizo Takasaki

 本職はコスプレで格闘技は趣味。そう言ってはばからないキックボクサーが話題を呼んでいる。“地上最強のアニヲタ(アニメオタク)”を名乗る長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾)だ。彼はストイック、ハングリーといった世間の人々が格闘家に抱く一般的なイメージ通りの選手ではない。むしろ正反対で、萌え系アニメのコスプレで激しく踊りながら入場してきたりするのだ。もちろん入場テーマ曲もほぼアニメソング。萌え系アニメなど知らない生粋の格闘技ファンは、それだけでもドン引きだ。

 これで強くなかったら、単なる目立ちたがり屋でおしまい。しかし試合開始のゴングが鳴ると、そのルックスとは裏腹のハードストライカーぶりを見せつける。昨年11月9日にはキャリアに勝る対戦相手から立て続けにパンチの連打で2度ダウンを奪ってニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)認定のスーパーウェルター級王座を奪取した。わずか64秒のワンサイドゲームだった。

 この勝利はフロックではない。12月22日にはタイ人を相手に2回TKO勝ちを収め、キックボクシングの通算戦績を11戦11勝(8KO)とした。KO率は72%を超す。強さの秘密は大学時代に日本拳法で鍛えた踏み込みの深さと当て勘の良さだろう。他のキックボクサーと比べると、長島の距離感は全然違う。KOパターンは至近距離での乱打戦。この展開になったら、みな長島のペースに付き合わされてしまうのだ。

 突如現れたコスプレ姿の実力者にK-1側も興味津々。12月のタイ人との一戦を見た谷川貞治イベントプロデューサーは2月23日開催の『K-1ワールドMAX~日本代表決定トーナメント2009~』への出場にGOサインを出した。

 注目のトーナメント組み合わせは公開抽選によって決められたが、小比類巻太信が「長島とだけはやりたくない」と吐き捨てるなど長島との対戦を拒否する選手が続出。結局昨年度の同トーナメント準優勝の実績を持ちながら、クジ運の悪かったHAYATOが一回戦で闘うことになった。HAYATOは女性ファンに大人気のベビーフェース。図式としてはオタク対イケメンになったわけだが、リング上は実力至上主義。好かれるかどうかで勝ち負けが決まるわけではない。

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