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日韓W杯の誤審疑惑を
FIFAが公式認定? 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2004/12/02 00:00

日韓W杯の誤審疑惑をFIFAが公式認定?<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

 あるDVDが韓国サッカー界を騒がせている。タイトルは“FIFA FEVER”。FIFAの設立100周年を記念して企画された商品である。基本的には歴代名選手や好勝負、強豪チームや大番狂わせなどが収録された記録集で、ことさら指向性やオピニオン色が強い作品ではない。

 だが、その中の“controversy(論争)”と銘打たれた箇所が問題となった。ここにはマラドーナの「神の手」を皮切りに、W杯史上に残る誤審が10件挙げられているが、日韓W杯における韓国戦の事例が4件も含まれている。ちなみに内訳は、イタリア戦の誤審が2件(オフサイド判定によるトンマージのゴール取り消しと、シミュレーション判定によるトッティの退場)、スペイン戦におけるモリエンテスのゴール取り消し2件(ファウルの判定によるものとセンタリングがゴールラインを割っていたとされるもの)となっている。

 韓国のサッカー協会は当然のごとく猛反発。「4強入りした栄冠を毀損することはできない」(チョ・ジュンヨン副会長)、「FIFAはなぜ審判の権威を貶めるような資料を自ら制作したのか」(ソ・ドンピル競技局長)として正式抗議を行なった。これに対してFIFA側は「(内容は)把握していなかった。ライセンスを持った会社が独自に制作したもので、我々が指示したわけではない」と釈明し、事態の沈静化を図ったと伝えられている。

 ただし韓国国内の反応は意外にも冷静で、インターネットの掲示板では「誤審は自分の目から見ても明らかだった。恥ずべきことに我々はその事実を忘れようとしている」、あるいは「ヒディンクはユニークな大会だったとコメントした。彼はこの4つの疑惑を指してユニークだと言ったのではないか」といった自制的な書き込みが大半を占めている。

 むしろファンが熱い“論争”を続けているのは2006年に関してである。韓国はW杯ドイツ大会のアジア地区予選で大苦戦中。協会が悪い、監督人事が問題だ、いや選手がハングリー精神を失ったのではないか等々、ネット上の筆戦は留まるところを知らない。

 DVD議論の予想外の静けさと、過熱する一方の代表論議。二つの現象の根底にあるのは「本大会出場を逃せば、それこそベスト4は誤審の産物だったということになる」というファンの本音と焦りなのかもしれない。

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