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ロッテの内紛が示した
これからの「監督像」。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2009/07/02 06:00

ロッテの内紛が示したこれからの「監督像」。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 チーム力はパ・リーグでも指折りのロッテが、首位から8ゲーム差(セ・パ交流戦終了時点)で5位に沈んでいる。いくつか原因が考えられるが、ボビー・バレンタイン監督とフロントの確執が少なからず影響しているのだろう。

 日本一から4年が経過し、観客動員が減少したことに加えて、経済状況が急速に悪化。親会社の意向で球団経営費削減を進めるために、年俸5億円とも言われるバレンタインとの契約解除を、フロントは穏便に進めようとしていた。

監督とフロントの確執が署名運動にまで広がって……。

 しかし、契約更新を狙うバレンタインがこれに抵抗し、さらにロッテ応援団が監督続投要請の署名を11万人分も集め、重光武雄オーナーに提出。応援団がバレンタインの契約更新を迫ったため、事態は泥沼の様相を呈してきた。ロッテは内紛状態のままシーズンを戦っている。

 実はフロントが監督交代を狙う理由は、年俸問題だけではなく、西武・渡辺久信監督の成功も理由の一つと聞いている。

 最近の球界では「二軍からの叩き上げや、チーム事情をよく知っている人のほうがいい」と二軍監督などを経験した人物を重用する傾向がある。西武だけでなく、ソフトバンクの秋山幸二監督、オリックスの大石大二郎監督もその例だ。彼らが好結果を残したため、ロッテもチーム事情を熟知した西村徳文を起用し、次期二軍監督には高橋慶彦という布陣で、ほぼ決まりかけていた。だが、西村監督では地味で、観客増加は見込めない、という声が内部から出たのも事実である。

江川監督の噂もあるが球団の本音は「西村監督」。

 そんな時に名前があがったのは、話題性には事欠かない江川卓だった。巨人はWBC連覇により原辰徳政権が続き、しばらく江川の監督就任はなさそうだ。だが江川は数年前から大学時代の同期を含めてコーチの陣容を考えていたほど、監督の座に思いをかけている男だ。巨人がダメならロッテ監督でも……と考えてもおかしくない。本人も「名前があがったことは光栄」と満更でも無い様子である。

 江川をはじめ何人か監督候補名が報道されている。だが、年俸を抑制し、なおかつチーム事情をよく知っている人物を監督にしたいロッテの本音は、「西村監督」であるのは間違いない。

 監督を高給で迎える時代は終わりつつある。今回の騒動ではっきりしたのは、そんな世知辛い事実なのかもしれない。

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