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西武の救世主、松永を変えた先輩杉内の言葉。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2006/08/31 00:00

 日程の7割を消化し、佳境を迎えたパ・リーグ。プレーオフ進出のカギは、ローテーションを守れる投手が何人揃っているかにかかっている。

 球界では、「夏場を経験していない若手投手に、後半戦の期待をするのは酷」とよく言われる。前半戦8勝の八木智哉(日本ハム)や9勝の涌井秀章(西武)などは、その言葉通り、夏場を境に快進撃に陰りが見えてきた。

 逆に開幕当初は二軍だったが、夏場に一軍に上がってローテーションの一角に食い込んでくるピッチャーもいる。西武のルーキー、松永浩典がその典型だ。8月3日のロッテ戦で初勝利をあげると、10日のオリックス戦は7安1失点の初完投をやってのけた。どこのチームも台所事情が苦しくなってきた時期。伊東勤監督にしてみればこんなに嬉しいことはないだろう。

 もともと左腕から繰り出される145kmのストレートは注目されていた。だが、それを活かす変化球が乏しかった。交流戦では2度先発していずれもノックアウト。思い悩んだ松永は、捕手の細川亨に「もっと変化球を覚えたほうがいいですかね?」と相談した。しかし、細川の答えは「変化球より真っ直ぐを磨いたほうがいいんじゃないか」だった。

 その時松永は、三菱重工長崎の先輩にあたる杉内俊哉(ソフトバンク)が、かつて同じような話をしていたことを思い出した。一昨年、二軍降格でもがいていた時に言った言葉だ。

 「真っ直ぐにキレがないから勝てないんだ。変化球に頼るよりむしろ直球を磨かないといけない」

 松永には社会人時代、長崎では有名な「マルヤジム」に通って加圧トレーニングを繰り返し、スピードが5~10kmほど増した経験がある。もう一度、速球を見直そうと決意したことで、ピッチングが安定し、初勝利につながったというわけである。

 尊敬する先輩、杉内からはこんなメールが届いた。「月末の西武戦の時にでもお祝いの食事をしよう。ただし、オレが勝っていたらな」

 プレーオフはしっかりとした先発投手が3人いれば勝てると言われる。松坂大輔、西口文也に続く3人目の柱を、松永は秘かに狙っている。

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