NumberEYESBACK NUMBER

「セ」もプレーオフ導入へ。改革は成功するのか。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

posted2006/09/14 00:00

 二転、三転の末、ようやく来季の交流戦を含めた公式戦の試合数とポストシーズンの実施概要が決まった。

 もともとは消化試合の解消とシーズンの活性化を狙って'04年にパ・リーグがプレーオフ制度を導入。この成功を見てセ・リーグも'07年からポストシーズン・ゲーム(PSG)の導入を決めたものだった。しかし、その後は優勝チームの決定方法、交流戦の試合数について、36試合から18試合への削減を求めるセ・リーグと30試合を主張するパ・リーグの間で意見の食い違いがあり、両リーグの足並みがなかなか揃わなかった。

 今回決定された内容は、両リーグともに来季公式戦を144試合(交流戦は24試合)とし、その結果でリーグ優勝を決定する。その上で上位3チームによるPSGを実施するというものだ。PSGの実施内容は今後論議されるが、本稿執筆時点では2位チームと3位チームによる第1ステージが3試合、第1ステージの勝者と1位チームによる第2ステージが5試合の予定だ。

 9月の消化試合を思えば、両リーグが足並みを揃えた今回のPSGの実施決定は、ファンにとって大いに歓迎されるべきものと言える。それだけにこのPSGが本当に勝負にこだわった、ファンを熱くさせるものになって欲しい。その観点で言えば、実施されるPSGは各球団の思惑優先ではなく、ファンが本当に求める勝負にこだわったものになって欲しい。そこでいくつかの注文がある。

 その一つが試合数の再考だ。現状の第1ステージ3試合、第2ステージ5試合という形では、あまりに偏った結果になる可能性が高い。単純に3連戦を考えれば試合展開ひとつで2勝1敗の可能性が高く、本当の意味での力と力の勝負にはなかなかなりにくいのではないだろうか。

 メジャーではリーグディビジョン・シリーズが5試合、リーグチャンピオン・シリーズ、ワールド・シリーズが各7試合という形式をとっている。実際にこの戦いを経験したヤンキースの松井秀喜外野手は「5試合マッチは勢いに左右されるパーセンテージが大きいので怖い。その点、7試合あると、ある程度両チームともに構えて本当の戦いができる」と語っていた。5試合マッチでもそうした不安がつきまとうだけに、3試合制ではいわば“勢い勝負”となってしまう可能性が非常に高い。

 日程的に苦しく、そうなれば再び交流戦の試合数が問題となってくるのは分かっている。それでもPSGという新しいプロ野球のイベントを盛り上げるためには、日本シリーズまで「5・5・7」、できれば「5・7・7」というメジャー式の試合数を導入して「燃える10月」を演出することも必要ではないだろうか。

 同時に一部球団からは順位やゲーム差によって“ハンデ”を求める声が出ているという。今季もパ・リーグでは1位チームに「1勝」というアドバンテージが設けられているが、シーズン優勝を別に考えたPSGでは、かえって戦いをつまらなくするだけではないだろうか。あるとすれば本拠地スタート程度のアドバンテージで十分。あくまでイーブンな中で、PSGという勝負に徹してこそ盛り上がるというものだ。

 ペナント争いが盛り上がるパ・リーグでも、同時にプレーオフ進出をかけた3位、4位の争いは熾烈を極める。それに比して中日独走のセ・リーグは9月の戦いに何が残されるのか。セ・リーグでも今季からPSGの導入を決断できていれば……。それもまた残念な点だった。

ページトップ