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球児たちの成長を促す、“死のブロック”という試練。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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posted2007/08/23 00:00

 8月8日に夏の甲子園大会が開幕した。全49校が8つのブロックに分かれ、そこで2〜3勝するとベスト8に名乗りを挙げるという勝ち上がり方式。この記事が出る頃には、ベスト8が出揃いつつあり、高校野球ファンにはこたえられない時期だ。

 ブロックごとに見ていくと、くじ運の良し悪しが露骨である。最も多く強豪校が集まったのは、1回戦で智弁和歌山高と仙台育英高が激突したブロック。両校とともに有力校に挙げられている帝京高、金光大阪高が同居する。選手を見ても、智弁和歌山戦で最高154キロ、17奪三振を記録した佐藤由規(仙台育英高)、怪物・中田翔を通算13打席0安打に封じ込んできた植松優友(金光大阪高)、高校通算60発のホームランをスタンドにたたき込んでいる中村晃(帝京高・一塁手)など超高校級が一堂に会し、レベルの高さは一目瞭然だ。

 1回戦で駒大苫小牧高と広陵高が激突したブロックも、強豪校が目白押しだ。こちらも有力校の青森山田高と報徳学園が初戦で対戦するという“死のブロック”ぶりが際立った。個々の選手に視点を移すと、来年のドラフト1位候補、近田怜王(報徳学園)や中国地区を代表する好打者、土生翔平(広陵高・三塁手)に注目するスカウトが多く、近藤龍義(青森山田高・外野手)の俊足や好守備を評価する関係者も多かった。

 これらのブロックを勝ち上がったチームが当然、優勝候補の一番手に挙げられる。甲子園大会は戦前の下馬評より、戦いながら成長していくプラスαにこそ目を向けるべき。そう考えると“死のブロック”こそ、最も選手の成長を促す試練の場ということになりはしないか。

 145キロ以上の快速球が持ち味の山崎正貴、岩崎翔(ともに市船橋高)、完成された美しいフォームと縦に割れるスライダーが魅力の2年生エース、米田易弘(甲府商)、さらに正確なコントロールが魅力の佐藤祥万(文星芸大付高・投手)など、強豪校以外のチームからも、心を揺さぶる逸材が登場し、夏の甲子園大会は相変わらず野球の魅力を伝えてくれる。

 大会はいよいよ佳境に入っていく。昨年、日本中を興奮の坩堝に叩き込んだ早稲田実対駒大苫小牧高のような熱戦が果たして今年も再現されるだろうか。

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