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高山樹里が転向した
ボブスレーの“特殊事情”。
~ソフトボール元代表の挑戦~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKYODO

posted2009/07/31 06:00

高山樹里が転向したボブスレーの“特殊事情”。~ソフトボール元代表の挑戦~<Number Web> photograph by KYODO

ボブスレーの代表候補合宿に参加した高山。ソフトボールは引退せずに続けていくという

 7月16日、驚くニュースが飛び込んできた。ソフトボール元日本代表の高山樹里が、ボブスレー全日本チーム入りしたというのである。

 きっかけは、ボブスレー・リュージュ連盟から6月に届いたオファーだった。突然のことに高山は驚いたと言うが、挑戦すると決意。7月初旬の適性テストに臨むと、参加した選手中最高タイムをマークし、チーム入りが決まったのである。まだ代表候補の一人に名を連ねたばかり。今後の代表争いに勝たなければバンクーバー五輪出場は叶わないが、もし決まれば、日本では初めて、夏季五輪のメダリストが冬季五輪に出場することになる。

他競技からのボブスレー転向は高山だけではない。

 実はボブスレーでは、他競技からの転向は珍しいことではない。長野五輪のボブスレー4人乗り代表だった青戸慎司は、ソウル、バルセロナ五輪に出場した陸上短距離の選手だった。今年2月の世界選手権に出場した女子2人乗りの熊谷史子もまた、昨年と今年の陸上日本選手権100mハードルでともに4位に入るなど陸上界で活躍する一方で、昨夏からボブスレーに取り組んでいる経歴の選手だ。

 海外にも実例がある。ソルトレイクシティ五輪の2人乗りで優勝したアメリカ女子のペアの一人、ボネッタ・フラワーズは走り幅跳で全米選手権に何度も出場したキャリアを持っている。欧州の中には、ボブスレーと陸上の両団体が連携して、陸上の選手がボブスレーに取り組む態勢を整えている国もある。

大型の高山は理想的なボブスレー選手になる素質が。

 転向が可能なのは、ボブスレーの特性に理由がある。簡単に言えば、総重量が重いほど加速力が増して有利になること、スタート時にソリを押しながら乗り込むため、ダッシュをつけられる脚力、パワーが重要だということだ。操縦役のパイロットはともかく、高山が挑戦する2人乗りのブレーカーは、まさに体重とパワーが求められる。体重80kg台後半の高山は、これまでの日本のボブスレー界にはいなかった体型の選手だ。連盟の山本強化委員長も高く評価する。

「体重があって走れる理想の選手です」

 当の高山はこのように抱負を口にした。

「もう一度世界と戦いたいし、やるからには一番になりたいです」

 ソフトボールで果たせなかった世界一を視野に入れる、高山の新たな挑戦に注目したい。

■関連コラム► 上野由岐子の413球。 【北京五輪的日報】 (2008年8月22日)

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