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アドマイヤムーンの40億移籍への期待。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byYoshihiro Fujioka

posted2007/08/09 00:00

アドマイヤムーンの40億移籍への期待。<Number Web> photograph by Yoshihiro Fujioka

 現役最強馬の呼び声も高いアドマイヤムーン(栗東・松田博資厩舎、牡4歳)に、巨額のトレードの申込みが来ている。邦貨40億円を用意して意気込んでいるのは、アラブ首長国連邦ドバイのシェイク・モハメド殿下が率いる「ゴドルフィン」なのだという。

 豊富なオイルマネーをバックに競馬先進国の各地に拠点を置き、金に糸目をつけずに馬産を行っているゴドルフィンだが、近年は各国の活躍馬を買い付ける形も進めている。今年も、ケンタッキーダービーを勝ったストリートセンス(米国・牡3歳)と、英国ダービーの覇者オーソライズド(英国・牡3歳)をそれぞれ60億円と36億円(いずれも推定)をはたいて、すでに手中に収めている。とは言え、この2頭は現役引退後の種牡馬としての権利取得。アドマイヤムーンに対してのそれは現役馬としての価値も含めて「是が非でも譲ってくれ」という申し出なのだ。

 近藤利一オーナーは、「価値を認めてくれたのがうれしい」と、前向き。オファーの直後に開催されたセレクトセールで、アドマイヤムーンの1歳の弟と当歳の弟を、それぞれ2億5千万円と3億円という超高値で落札し、「松田博資調教師への感謝の気持ちを込めて、絶対に引き下がれないセリでした」と語っていることから考えても、このトレードはほぼ成立していると推察できる。

 折りしも、ゴドルフィンの実質的な日本法人であるダーレー・ジャパン株式会社に対して、JRAが馬主登録の申請に内定を出した直後でもあり、アドマイヤムーンが引き続き日本で走るのではないかとの観測も流れたが、そうではない。ゴドルフィンのエースとして期待されているのだから、拠点は英国。そこからさらに種牡馬価値を高めるため、欧州のビッグレースを転戦することになるはずで、凱旋門賞に挑戦するメイショウサムソン、ウオッカを迎え撃つ夢のようなシーンが実現することも十分にありえる。

 現状で一人勝ちを謳歌する社台グループは、急激なオイルマネーの乱入を露骨なまでのしかめっ面で見つめているが、日本の競馬界全体で見れば決して悪い流れではない。文字通りの黒船来襲で競馬が活性化するならファンは大歓迎。ニッポンの馬産はすでに世界レベルにあるのだから、心配には及ばない。

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