SCORE CARDBACK NUMBER

国際化のなかで密かに減らされた
生産者賞。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

posted2007/07/26 00:00

 ダーレー・ジャパン株式会社から出されている馬主登録申請を、JRAは今月中にも認めそうだという報道が出ている。同社は、アラブ首長国連邦ドバイの首長、シェイク・モハメド殿下が中心となって世界中に展開しているメガ・サラブレッド商社の日本法人である。この報道が事実だとすると、いよいよ日本の競馬にも実質的な外国人馬主が参入してくるということになる。

 競馬先進国で外国人馬主を拒絶している国はほかになく、実際に日本人馬主は欧米豪、どこに行ってもすでに存在している。一方的な「鎖国」が許されるはずがなく、こうした流れは止められないものと考えたほうがいい。また、外国人馬主が参入すると自国から連れてきた馬で日本の競馬を荒らしまくる、と考えるのも悲観的に過ぎるというものだろう。蓋を開けてみれば、日本の生産者にとってもマーケットが広がってよかった、となることだって十分に考えられるのだ。要は、世界に通用する馬作りをしているかどうか、身近に問われるようになるということなのだ。

 国際化が推進されるとなったときに、改めてクローズアップされるのは政府による後方支援だ。国内の生産者を守ってくれるのは、国から支給される各種の補助金ということになるからだ。競馬の場合は非常に分かりやすい。生産した馬がJRA主催のレースで上位に入線(特別レースは5着まで、平場は3着まで)すれば、決められた額の「生産者賞」が支給されることになっている。これはもちろん、外国人は対象外だ。

 ところが、この生産者賞が'05年から大幅に下げられている。例えば、ジャパンカップを勝ったときに(有馬記念、宝塚記念も同列)、ピーク時の'98年には800万円が支給されていたものが、'05年からはたったの100万円。これは、'02年に700万円、'04年に500万円と段階的に下げられ、'05年には単純に「GIレース」と一括りにされて、1着100万円と一気に下げられてしまったものだ。

 この事実は一般のファンにはほとんど知られていない。生産者団体もなぜか不満の声を上げないが、馬を作る農家の夢がしぼんでしまっているのがおわかりだろう。こうした実態の方が、よほど日本の馬産を圧迫していると思えるのだが。

■関連コラム► 未曾有の不況が続く中、日本競馬よ、どこへ行く。 (09/02/12)
► 売り上げ回復に挑むJRAの2つの作戦。 (08/01/17)

ページトップ