SCORE CARDBACK NUMBER

姉妹同時金メダルが実現する日。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2004/05/06 00:00

 金メダルを姉妹で手にする。そんな夢のような話がいよいよ現実のものになりそうだ。

 4月13日に東京・駒沢体育館で行われたレスリング女子48kg級のアテネ五輪代表決定プレイオフで、伊調千春が中京女大の後輩、坂本真喜子を判定で撃破し、念願の五輪切符を手に入れた。妹の馨はすでに2月のクイーンズカップで五輪代表に選ばれている。

 これまで姉妹で代表になったのは'96年アトランタ五輪バドミントン単の水井妃佐子、泰子姉妹、同複の宮村愛子、亜貴子姉妹、'00年シドニー五輪シンクロナイズドスイミングの米田祐子、容子姉妹の例があるが、4組目の伊調姉妹には史上初のダブル金メダルの期待がかかる。女子レスリングの決勝4階級が行われる2004年8月23日は、日本のスポーツ界にとって歴史に残る一日になるかもしれない。

 姉妹と言っても、2人の性格はまったく異なる。姉の千春は精神面が強く、逆境になればなるほど力を発揮するタイプだ。ハートの強さはプレイオフでも遺憾なく発揮された。相手の坂本は互いに手のうちを知り尽くしている後輩。しかも第1ピリオドの途中には唇を切り、コンタクトもずれてしまった。精神面に不安がある選手なら簡単に崩れていたに違いない。しかし千春は冷静だった。「落ち着いて」という妹・馨のアドバイスを守り、第2ピリオド35秒にクリンチから一瞬のスキをついてそり投げを決め、3ポイントを奪取。後は得意の守りで逃げ切った。

 妹の馨は小さい頃からそんな強い姉に頼りっきりだったが、レスリングでは早くから才能を発揮してきた。初めて姉妹で出場した'02年の世界選手権では姉が銀メダルで悔し涙を飲んだのに対し、妹はいきなり金メダルを獲得。翌'03年にも優勝し、五輪代表争いでも一足先に切符を手にした。

 いつの間にか立場は逆になったが、姉がいてこその妹であることにかわりはない。五輪本番では、これまで体験したことのないような強烈なプレッシャーが待っている。その時、精神的に強い姉は妹にとって絶対に必要な存在だ。姉もまた妹に負けじと今回のような粘りを見せるだろう。一緒にいることで、2人の力は2倍にも3倍にもなる。姉妹で一緒に表彰台に上がる姿が今から目に浮かぶ。

ページトップ