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全日本男子が強豪に3勝。石島・越川が見せた成長。 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2007/07/26 00:00

 男子バレーボールのワールドリーグが7月8日に予選ラウンドの幕を閉じた。日本は3勝9敗と大きく負け越し決勝ラウンド進出を逃したが、前年度準優勝のフランスから1勝、アテネ五輪で銀メダルを獲得したイタリアからは2勝を挙げる健闘を見せた。近年、勝利はおろか接戦に持ち込むことすらできなかった両国を相手に、若手主体の全日本が対等に渡り合った。攻撃の単調さなど、チームレベルで克服すべき課題は残るものの、選手個々の能力は着実に伸びていると判断していいだろう。

 特に成長を見せたのが石島雄介と越川優、ともに23歳のレフト対角である。ワールドリーグでは全試合にスターティングメンバーとして出場し、越川は参加16カ国の名だたるエースを抑え総得点で世界のトップに輝いた。同時にスパイク決定率でも第2位に入っている。一方の石島も総得点で8位と上位に顔を出し、課題とされてきたサーブレシーブの成功率でも8位にランクインする成長を見せた。3大会連続で五輪出場を逃している男子バレーにとって、若きエースの揃っての活躍が明るい材料であることは言うまでもない。

 越川は岡谷工高3年生のときに初めて全日本に選ばれた。今年で代表5年目を迎える。大学出身者が多いプレーヤーの中では異質の高校卒。一日も早く高いレベルで活躍したいと迷わずVリーグに飛び込んだ。一方の石島は2006年、堺ブレイザーズでリーグ優勝を経験しながらも、「巧くなるためには必要」だと厳しい環境を自ら選び、ブラジル、プロリーグへの移籍に踏み切った。違う道を歩んではいるが、両者ともバレー界ではまだ数少ないプロ契約選手である。

 2人が全日本で初めて顔を合わせたのは、石島が代表入りを果たした2006年だった。日本で開催された世界選手権にも揃って出場し、新しいレフトのコンビは大きな注目を集めた。しかし石島は安定感を欠き、越川は守備の不安からベンチを温める日々が続く。2人が同時にコートに立つ場面はわずかしか見られず全日程を終了したのである。「フラストレーションを残したまま終わってしまった」(石島)、「自分が出ていないから勝っても素直に喜べなかった」(越川)と雪辱に燃えて今年度の招集を待った。その間、越川はV・プレミアリーグでサントリーの優勝に貢献し、MVPを受賞。かたや石島はブラジル・スーパーリーグのタウバテから格上のウーブラに移籍し、7名のウィングスパイカーがひしめくチームでポジション争いに勝ち残った。合流して1カ月後にはレギュラーの座を奪い取っている。

 今年度、最初の国際舞台だったワールドリーグ終え、2人はお互いをこう評価した。

 「ブラジルに行く前に比べて巧さが備わりましたよね。思い切り打つだけじゃなくリバウンドを取ったり、ブロックアウトをねらったりと、今は場面に応じてスパイクを打ち分けているように見えます」(越川)

 「あれだけ高いスパイク決定率を残してくれれば、相手ブロックは越川をマークせざるを得ないでしょう。おかげで僕はラクに打たせてもらいましたよ」(石島)

 今後、全日本男子は9月のアジア選手権を経て11月、北京五輪の出場権がかかるワールドカップへと挑む。守備や速いトスへの対応など、まだまだ多くの課題を残す2人だが、長らく低迷を続けてきた全日本男子の命運が彼らの腕に委ねられていることは間違いない。

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