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「特別な国」の復興を願って。
メジャーの素早い対応。
~米球界で広がる支援の輪~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byAFLO

posted2011/03/27 08:00

仙台で22年間過ごし「東北全域に知り合いがいる。言葉が見つからない」と語った斎藤隆

仙台で22年間過ごし「東北全域に知り合いがいる。言葉が見つからない」と語った斎藤隆

 いつもならスポーツ番組が映し出され、軽快なリズムの音楽が流れるクラブハウスが、この日ばかりは違った。CNNのニュース映像に、多くのメジャーリーガーたちが言葉を失った。大津波で家屋や自動車が次々と濁流に呑み込まれていくシーンが、米球界にも大きな衝撃を与えたのだ。翌日、コミッショナーのバド・セリグは、緊急声明を発表。今後、具体的な支援策の検討に入る意向を示した。「1世紀以上にわたり、野球への愛情を分かち合うなど、我々にとって日本は特別な場所。日本を襲った大きな災害に深く心を痛めています」

 各球団も、素早く反応した。'09年まで松井秀喜が所属したヤンキースは、赤十字などを通して10万ドルの義援金を送ることを決定。その松井が現在所属するアスレチックスは、本拠地にマリナーズを迎える開幕3戦目に募金活動をする方針を明かした。また、マリナーズの最高経営責任者、ハワード・リンカーンも、可能な限りのサポートを惜しまない考えを示した。西岡剛のツインズをはじめ、松坂大輔らのレッドソックス、高橋尚成のエンゼルスなどは、オープン戦の試合前に全員で黙とうを捧げた。

地震直後から安否確認に追われた仙台出身のブルワーズ斎藤隆。

 米球界も、突然の惨劇によって試合ができなかった経験がある。2001年9月11日の「米国同時多発テロ」の際、MLBは即座に全試合の無期限停止を決めた。ブッシュ大統領の呼び掛けもあり、1週間後に試合は再開されたが、各チームはシャンパンファイトを自粛。メジャー記録の116勝を挙げたマリナーズは、地区制覇直後、全員でマウンド周辺に跪き、宗教の違いを越えて祈りを捧げた。

 あまりに甚大な被害でもあり、現時点で東北地方に復興のメドは立っていない。ただ、その一方で、重苦しい時期だからこそ、スポーツや芸術などが果たす役割もある。被災地・仙台市出身のブルワーズ斎藤隆は、地震発生直後から夜を徹して安否確認に追われていたが、数日後、ようやく落ち着きを取り戻して言った。

「自分がどう切り替えていくか。何よりも仙台にいる家族が、そのことを願っていると思います」

 物資の支援だけではない。斎藤をはじめ日本人メジャーリーガーたちは、グラウンドで故郷・日本へメッセージを送り続けるに違いない。

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