東北地方を中心に東日本を襲った大地震と大津波の被害は、刻一刻と深刻になっている。被災地ではまだ死者、行方不明者が増え続け、何とか一命を取り留めた人々も、極寒の中で物資不足に苦しみながらの避難生活を強いられている。
その中でプロ野球界は開幕問題を巡って、すったもんだの論争を繰り広げた。
仙台を本拠地とする楽天を抱えるパ・リーグは早々に開幕延期を決めたが、セ・リーグはそうはいかなかった。
「(復興のために)あらゆる努力をする。その努力の源泉は明るい活力。明るい活力をもって国民大衆に示すことができるのはプロの選手たち。選手が全力でフェアプレーで緊張した試合をし、観衆が元気を持ってくれれば生産性が上がるんです」
3月16日に行われた巨人の激励会では、読売グループの総帥でもある渡辺恒雄球団会長がこう主張。そうしてセ・リーグは予定通りに3月25日開幕が決まった(3月17日時点)。
そんな様子を見ていて思い出した言葉がある。
「被災直後はあまりの被害の甚大さに何もできず、無力感に襲われた」
1995年。関西地区を襲った阪神淡路大震災を振り返った故・仰木彬さんの言葉だ。
「がんばろう神戸!」を合言葉に初のリーグ優勝へ。
仰木さんはこの年、被災地の神戸を本拠にしたオリックス・ブルーウェーブの監督だった。そして1月の震災から2カ月余経った開幕で「がんばろう神戸!」を合言葉にチームを率いて、オリックスとしては初となるリーグ優勝へと導いた。
だが、その仰木さんですら、被災直後には、あまりの被害の大きさから、野球どころではない、と絶望感にさいなまれていたというのだ。
野球が本当に人々の力となれたのは、被災から数カ月経った後だった。人々が復興への道を歩きだしたとき、初めてスポーツは元気や勇気のシンボルとなる。そうして初めて「がんばろう神戸!」という掛け声とともに、オリックス・ブルーウェーブという野球チームも復興の象徴としての役割を担えたというのだ。
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