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アメリカに乗り込む“第二の刺客”。
大晦日で変わった川尻達也の運命。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/03/15 10:30

アメリカに乗り込む“第二の刺客”。大晦日で変わった川尻達也の運命。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

昨年、大晦日に行なわれた『Dynamite!!』。川尻達也(写真上)はジョシュ・トムソンに対して、テイクダウンからマウントポジションへとつなげ、パンチを繰り出す作戦で見事勝利を収めた

 日本の格闘技ファンにビッグニュースがもたらされたのは、3月3日のことだった。

 DREAMを代表する選手の一人、川尻達也がギルバート・メレンデスの持つSTRIKEFORCEライト級タイトルに挑戦することが正式にリリースされたのだ。2006年の『PRIDE男祭り』以来となる両者の対戦は4月9日、アメリカ・サンディエゴのヴァレービュー・カジノセンターで行なわれる。

“STRIKEFORCE”“メレンデス”という言葉に敏感に反応したファンは多いことだろう。2010年4月に開催されたSTRIKEFORCEのナッシュビル大会で、DREAMライト級王者の青木真也がメレンデスに完敗を喫しているのだ。興行面でアメリカに大きく水をあけられた日本が、強さでも差を見せつけられた。その衝撃はあまりにも大きなものだった。

王者メレンデスへ送り込まれる、日本からの“第二の刺客”。

 メレンデスへの“第二の刺客”として期待されたのは、青木のライバルであり、ともにDREAMを支えてきた川尻だった。

 彼自身、青木が負けた直後に「俺がメレンデスをぶっ倒すしかないと思いました」と語っている。だが、彼は同年7月に青木とDREAMライト級タイトルマッチを行ない、アキレス腱固めで一本負け。足首の負傷で戦線離脱を余儀なくされ、太平洋をまたいだストーリーから脱落したかに見えた。

 だが、大晦日の『Dynamite!!』で運命の逆転が待っていた。当初、予定されていた青木とメレンデスの再戦は、メレンデスとSTRIKEFORCEの契約更改が長引いたこともあってキャンセルに。結局、青木はK-1 MAX日本王者の長島☆自演乙☆雄一郎とミックスルールで闘うことになり、KO負けを喫してしまう。

 同じ大会で、川尻は復帰戦に臨んでいる。

 相手はジョシュ・トムソン。メレンデスと1勝1敗の戦績を残している前STRIKEFORCE王者だ。下馬評では決して優位とは言えなかった川尻だが、結果は3-0の判定勝ち。この結果を受け、STRIKEFORCEのスコット・コーカーCEOは「チャレンジャー候補のトップはカワジリ」と明言した。わずか一晩で、川尻と青木の立場が入れ替わったのである。

 実際、トムソン戦での川尻のパフォーマンスには「メレンデスに勝てるかもしれない」という期待感を抱かせるだけの説得力があった。真っ向から打撃で渡り合い、相手が組みついてくれば確実にテイクダウンし、しっかりと抑え込んでからパウンドやサブミッションを仕掛ける。川尻の真骨頂であり、レスリングとボクシングを重視した、アメリカ人ファイターに近い“剛”のスタイルだ。

【次ページ】 川尻が貫く青木とは対照的なファイティングスタイル。

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