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次世代のマラソン女王となれるか?
横浜国際女子で優勝した尾崎好美。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2011/03/03 10:30

次世代のマラソン女王となれるか?横浜国際女子で優勝した尾崎好美。<Number Web> photograph by AFLO

残り3kmでかけた勝負で見事に勝利を手にした尾崎好美。世界選手権代表の内定第1号となった

 ようやく少し、光明が見えたか。

 終わったばかりの東京マラソン、のことではない。

 2月20日に開催された、第2回横浜国際女子マラソンのことである。この秋に韓国で開催される世界陸上への選考を兼ねたこの重要な大会(東京マラソンの女子は基本的には選考対象外)で、尾崎好美が2時間23分56秒で優勝し、2度目のマラソンとなる中里麗美が2時間24分29秒で2位となったのだ。

 レース後、日本陸上競技連盟の関係者は、一様に明るい表情を浮かべていた。そこには、ここ数年の日本女子の低迷といってもよい状況がある。

 2000年のシドニー五輪で高橋尚子が、2004年のアテネで野口みずきが金メダルを獲得したように、女子マラソンで日本は強豪の位置を築いてきた。お家芸と呼ばれたこともある。

 だが、野口みずきが直前の故障で欠場した北京五輪では、土佐礼子もレース途中で棄権し、中村友梨香が13位にとどまり、1992年のバルセロナ五輪以来続いていたメダル獲得が途絶えた。

エースと呼べる「軸の不在」が女子マラソン低迷の要因に。

 それと前後するように、記録が伸び悩み始めていた。

 日本の歴代10位を見れば、一目瞭然だ。野口の2時間19分12秒をトップに、3位の高橋尚子までが19分台、以下、8位の弘山晴美まで21分台、22分台が続き、9位の大南博美が2時間23分26秒となっているが、これらの記録はすべて、2005年までにマークされたものだ。ようやく10位に、2008年の東京国際女子マラソンでの、尾崎の2時間23分30秒が入る。このほか、2009年の大阪国際女子マラソンでの渋井陽子の2時間23分42秒という記録はあるものの、それ以外は、25分台や26分台がやっとという状態が続いてきたのだ。

 昨年、世界のトップ20に日本の選手が一人も入らなかったことも、現状を指し示している。

 低迷の原因のひとつにあげられるのが、「軸の不在」だ。高橋や野口といったエースと呼べる存在がいて、その選手を目標に、高いレベルの争いが繰り広げられたのとは対照的に、そうした存在がいなくなった近年は、競争の厳しさが失われていた。

 抜きん出た選手のいないこともあって、勝負を優先しがちになり、互いに牽制しあうことでペースの上がらないレースが続いた。

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尾崎好美

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