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日本大学前理事長・田中英寿氏は逮捕、大学相撲の名門・日大が低迷中…関係者「将来性のある高校生が日体大、近大、東洋大に」

posted2022/01/03 11:00

 
日本大学前理事長・田中英寿氏は逮捕、大学相撲の名門・日大が低迷中…関係者「将来性のある高校生が日体大、近大、東洋大に」<Number Web> photograph by KYODO

脱税容疑で逮捕された田中英寿・日大前理事長は3度アマ横綱に輝いた角界の実力者。日大でも舞の海らを育てたが

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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 12月5日、アマチュア横綱を決める「第70回天皇杯 全日本相撲選手権大会」が両国国技館で行われた。大会副会長である日本大学前理事長の田中英寿氏の姿は、もちろんない。大会パンフレットをめくると、歴代のアマチュア横綱たちの紹介ページがあり、田中氏は、第18回(昭和44年)、19回、23回と3度もアマ横綱の栄冠に輝いている(準優勝は4回)。まさに「アマチュア界の大鵬」との異名をとる実力者だったのが思い返される。

“大学相撲の雄”の名をほしいままにしていた日大だが、今大会では振るわなかった。今年度の学生横綱に輝き、165cmの小兵選手として注目を浴びた日大4年生の川副圭太が、負傷により予選を欠場。決勝トーナメントに進み、ベスト16に残った日大選手は同大職員を含む2名だけという寂しさだった。日大出身のアマチュア横綱は、第64回のバーサンスレン・トゥルボルド(現十両・水戸龍)以来、出ていない。

 一方、日体大の活躍が著しく、今大会タイトルを奪取したのは、決勝で近大・神崎大河を下した3年生の中村泰輝だ。昨年度の同大会を制覇したのも日体大の1年生(当時)花田秀虎。「近年は将来性のある高校生が日体大、近大、東洋大に流れる傾向にある」とは大会関係者の弁だ。

「すぐにでもプロに行きたい」高校3年生の逸材

 今大会での注目は、高校生としてひとり出場権を得ていた、鳥取城北高校3年の落合哲也だった。2年連続で高校横綱となり、高校生としては現幕内・北勝富士(当時埼玉栄高)以来、11年ぶりのベスト8入りを果たした。決勝1回戦では元アマチュア横綱の谷岡倖志郞(近大附属高職員)を土俵下まで吹っ飛ばしたものの、2回戦では横綱に輝いた中村に屈した。本人は唇を噛みしめる。

「悔しいです。たたきのめすつもりだった。もっとパワー、スピード、心技体を磨いて強くなりたい」

 公称180cmと、決して体格に恵まれてはいないものの、斜に構えて相手をじらす独特の仕切りが特徴的で、負けん気の強さはすでに“横綱級”だ。今大会で、高校生としては初めての「三段目百枚目格付け出し資格」を得た。

「すぐにでもプロに行きたい」ときっぱり言い切る落合。来年の大相撲界に、活きのいい坊主頭の高校生が殴り込んで来る。

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