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野球人口の急減が日米で進行中。
MLBは対策に本気、では日本は?
posted2019/08/26 08:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
外野ノックのこぼれ球を拾った日本のリトルリーガーは、フェンス越しにグラブを高く掲げ、「Give me the ball(ボールちょうだい)!」と叫ぶアメリカ人らしき少年2人を見上げた。
ファンがボールをせがむのはメジャーリーグでよく見かける風景だが、ここはリトルリーグだ。そんなことが許されるはずもない。困惑した表情を浮かべている。
日本のリトルリーガーはやがて、申し訳なさそうな顔をして、自分の目の前でバツマークをして練習に戻っていった。
8月18日の昼下がり。リトルリーグ・ワールドシリーズ(以下LLWS)の開催地であるペンシルバニア州の小さな田舎町ウイリアムスポートでのことだ。
前夜、LLWSのテレビ中継の解説者ジェシカ・メンドーサが、こう言っていたのを思い出す。
「リトルリーグ・ワールドシリーズでプレーしている選手たちは全員、ヒーローなのです。会場では、代表のユニフォームを着た少年たちにサインを頼む子どもたちの姿が見られますし、大人にとっても彼らは特別な存在なのです」
メジャーリーガーが、リトルリーグに声援。
その日はメジャーリーグのリトルリーグ支援プロジェクトの1つで、シカゴ・カブスとピッツバーグ・パイレーツの選手たちが全員でLLWS会場を訪問し、出場選手たちを激励する予定だった。両チームの選手たちはその後、リトルリーガーをダウンタウンのマイナーリーグ球場に招待し、彼らの前で公式戦を行うことになっていた。
日本のリトルリーガーとアメリカ人の少年2人が触れ合ったのはLLWSのサブ球場だったが、そこにも当然メジャーリーガーはやって来た。
彼らの目前で、よく鍛えられた日本のリトルリーガーは、シートノックで軽快に右前へのゴロをさばき、ワンバウンドで本塁へ鋭い球を返す。
それを見ていたのがカブスの選手より一足先にやって来たパイレーツのジョー・マスグローブ投手で、彼は日本のリトルリーガーの流れるような動きを見て、少し興奮気味に「Good play, man! Good play!」と叫ぶのだった。