甲子園の風BACK NUMBER
吹奏楽の大会が甲子園と重なった!!
「ブラバン応援ゼロ」をどう避ける?
posted2018/08/23 17:00
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
高校野球に欠かせない吹奏楽の応援。地方大会では、鳴り物応援が禁止の地域や、吹奏楽部の応援が来る文化がないという県もあるが、甲子園で吹奏楽部なしという学校はほとんどない。
吹奏楽部がない学校も、近隣の学校などに依頼して、何とかしてアルプススタンドの「ブラスバンド席」を埋める努力をしている。
実は、夏の甲子園が始まる8月は、吹奏楽部にとっても最も忙しい時期でもある。吹奏楽コンクールのまっただ中で、試合とコンクールがかぶることも少なくない。地域によっても異なるが、だいたい以下のようなスケジュールでコンクールは開催される。
地区大会(7月)→県大会(7月下旬~8月上旬)→支部大会(8月上旬~9月上旬)→全国大会(10月下旬)
各大会、すべての団体に金・銀・銅の賞が贈られ、金賞受賞団体の中から上位団体が次の大会に推薦されるというケースが一般的だ。
甲子園と重なるのは県大会か支部大会で、組み合わせ抽選の日、吹奏楽部も野球部も「コンクールの日だけは当たりませんように」と祈りながら臨んでいる。
しかし、運悪く当日に当たってしまった学校がやはりあった。各校、どのように対応したのか。
2年連続でコンクールと甲子園が重なった!
まさかの2年連続でコンクールと重なってしまった済美は、部員全員がコンクールメンバーのため、アルプススタンドには1人も来られない。
昨年は、吹奏楽部OGがツイッターでボランティア応援を呼びかけたところ、同校の卒業生や生徒の家族、さらには一般の吹奏楽愛好家も多数アルプススタンドに駆けつけてぶっつけ本番で演奏し、「吹奏楽部なし」という事態は免れた。それにしても、今年もコンクール当日と重なるとは、運が悪いとしかいいようがないが、昨年の経験があったため、今回もネットで呼びかけたという。
ブラスバンド席には済美の生徒の姿もあり、話を聞くと、中学時代に吹奏楽部だったという。クラリネットの山本佳穂さんは、「去年は一般生徒の席でメガホンで応援していたけれど、1年後、まさか楽器を吹くことになるとは思ってもみなかった。吹奏楽部のみんなはコンクールをがんばってもらって、『応援はまかせて!』という気持ちです」と頼もしく話した。