ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
悪性リンパ腫と闘う垣原賢人へ、
鈴木みのるからの厳しすぎるエール。
posted2018/08/17 11:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Yukio Hiraku
いま、日本マット界は、新日本プロレスが隆盛を極める一方で、“懐メロプロレス”が花盛りだ。
武藤敬司がプロデュースする「プロレスリング・マスターズ」をはじめ、藤波辰爾の団体「ドラディション」、さらに長州力プロデュースの「POWER HALL」など、いずれも往年の名レスラーを集結させ、1980~90年代のプロレス黄金時代を知るオールドファンを大いに喜ばせている。
8月14日に後楽園ホールで開催された「カッキーライド」も、そんな中のひとつと言っていいだろう。
もともとこの大会は、血液のがんである悪性リンパ腫で闘病中の“カッキー”こと垣原賢人を激励すべく、'15年にUWF時代の仲間が「カッキーエイド」として開催したもの。昨年からは「カッキーライド」と名称を変えて行われ、今回は第3回大会である。
いずれも'80年代末から'90年代前半に一世を風靡した、UWFやUWFインターナショナルを中心とした選手が集まり、UWFルールの試合を披露。客席にはかつての"U信者"たちが大勢詰めかけた。いわば、懐メロプロレスのUWFバージョンだ。
垣原vs.みのるは懐メロではなかった。
こういった懐メロプロレスは、試合内容というより、ファンの記憶に訴える仕掛けが重要になる。各レスラーの得意技は歌手にとっての“ヒット曲”であり、レスラーの入場テーマ曲は、そのまま永遠のスタンダードナンバー。
同時代を生きたレスラーとファンが一緒にあの頃に戻って、心地よい時間をすごす。そこが最大の売りだ。
しかし、今回ばかりは“懐メロ”プロレスにはならなかった。
メインイベント、UWFルールで行われる垣原賢人の復帰戦の相手が、今年デビュー30周年を迎えながら、今も現役バリバリで世界のトップで闘い続ける鈴木みのるになったからだ。