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女子背泳ぎ復権を託される若手3人。
酒井夏海、小西杏奈、赤瀬紗也香。
posted2018/08/05 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
8月9日、水泳の国際大会、パンパシフィック選手権が東京で開幕する。五輪中間年に行なわれる重要な大会であり、日本での開催は16年ぶりのこと。2年後へ向けて強化に励む現在の日本代表の泳ぎが観られる貴重な機会でもある。
メダルが期待される男子200m個人メドレーの瀬戸大也・萩野公介、今年に入って15個の日本記録を叩き出した池江璃花子ら見どころの多い今大会だが、特に注目したいのが、女子背泳ぎだ。
ひと頃、女子背泳ぎは「新お家芸」と称されたこともあったように、日本競泳が強みを持つ種目だと捉えられていた。
成績がそれを裏付ける。2000年のシドニー五輪100mで中村真衣が銀、200mで中尾美樹が銅とそれぞれメダルを獲得したのを皮切りに、2012年のロンドンまで4大会連続で表彰台に上っている。またオリンピックのみならず、世界選手権など他の大会でも華々しい結果を残してきた。有力選手がひしめきあい、日本代表争いも熾烈をきわめた。
しかしその陰で、年を追うごとに少しずつ選手層が薄くなっていることが懸念されていた。ロンドン五輪で個人・リレーで2つのメダルを獲得した寺川綾が2013年に引退すると、危機は一挙に表面化した。
五輪、世界選手権と不振だった女子背泳ぎ。
2016年のリオデジャネイロ五輪では日本勢が準決勝に進めず。また昨年の世界選手権も定められた選考基準をクリアする選手が現れなかったため、日本代表はまさかのゼロとなった。
ことは背泳ぎのみの問題にとどまらない。背泳ぎの有力選手が不在のため、女子4×100mリレーにエントリーすらできなかったのである。花形種目の1つに出られない事態が、問題の深刻さをより浮き彫りにした。
だが今シーズンになって、ようやく明るい兆しが見えてきた。