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史上最悪扱いからバルサの名脇役。
パウリーニョは異彩を放つ肉体派。

posted2018/04/12 07:00

 
史上最悪扱いからバルサの名脇役。パウリーニョは異彩を放つ肉体派。<Number Web> photograph by Getty Images

バルサの中盤で異彩を放つパウリーニョ。ロシアW杯でもセレソンとして活躍が期待される。

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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 グアルディオラがプレースタイルを確立してからこちら、バルセロナは新参者には厳しいチームとなっている。

 独特のコンセプトとメカニズムの理解が不可欠な中盤は特に難しく、カンテラ育ちではない選手が加入1年目から活躍したケースは稀だ。その壁を感じさせなかったと誰もが認めるのは、2014-2015シーズンにセビージャから加入したラキティッチぐらいだろう。

 よって今季、広州恒大(中国)から引き抜かれたパウリーニョもおおいに苦しむと思われた。

 そもそも特徴がバルサのMFらしくない。正式に入団が決まる前のことだが、対戦したことのあるブスケッツは「うちの選手とはタイプが異なる」と語っていた。

 また、ある新聞は時間をコントロールするポゼッションサッカーの経験がないうえに、前後に速いダイナミックなサッカーに慣れてしまっている点を指摘し、バルサの肝であるポジショナルプレーへの対応を疑問視していた。パウリーニョは、組織的で正確なポジショニングを得意としていなかったからだ。

29歳の肉体派がバルサに溶け込んだ。

 加えて、ファンが相当なプレッシャーをかけていた。

 パリSGの司令塔ベッラッティ(当時24歳)の獲得を期待していたのに、やってきたのは29歳の肉体派。おまけに獲得コスト4000万ユーロ(約52億円)は当時のクラブ史上4番目の高額だったのだから、納得いかないのも当然である。

 ところが、開幕後まもなくパウリーニョは予想を裏切り始めた。

 周りを立てるプレーでチームに溶け込み、ゴールも決める――。

 第31節終了時点でリーガの出場数は29試合。これは、テア・シュテゲン(31試合)、ラキティッチ(30試合)、メッシ(30試合)に次いで4番目に多い。第19節のレアル・ソシエダ戦を最後に得点こそないものの、バルサがこのまま優勝した暁には「即戦力として2年ぶりの王座奪還に大きく貢献した」と評価されるだろう。

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