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週休2日制度で部活はどう変わるか。
高校野球のあの規制はGHQが作った?

posted2018/03/17 08:00

 
週休2日制度で部活はどう変わるか。高校野球のあの規制はGHQが作った?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園に出場する強豪校で、週休2日の学校は現状ほとんどない。今後どのような変化が起こるのだろうか。

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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Hideki Sugiyama

 部活動の週休2日制導入が物議を醸している。

 スポーツ庁は「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定。今年に入ってその概要が少しずつ明らかにされ、14日にHP上にその内容が公表された。

 ガイドライン案に書かれているのは主に、(1)適切な運営のための体制整備、(2)合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組、(3)適切な休養日等の設定、(4)生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備、などである。

 (3)のなかに「週当たり2日以上の休養日を設ける」という文言があり、世間を驚かせている。

 週休2日制導入ばかりがクローズアップされるが、ガイドラインにあるどれも、今後のスポーツ界において重要なことが書かれているというのがざっと読んでの感想だ。スポーツにおける指導そのものが新時代を迎えている印象を受けた。

 日本のスポーツ指導には、練習時間が多いことをよしとする風潮がまだ色濃くある。2月のプロ野球キャンプでも、ある球団の10時間練習が球界をにぎわしていたが、練習時間の多寡だけが語られるのは、その業界の体質の古さを物語っているといえる。

 そもそも、部活動の週休2日制度の導入は、単に練習時間の減少を促すだけのものではない。これから求められてくるのは、より効率的な指導だ。科学的根拠はなくても、あらゆるメニューを詰め込んだ長時間の練習をすれば、やった気にはなれる。しかし、短い時間の中で指導をするためには、理路整然とした練習内容が必要となるのだ。

科学的トレーニングの必要性も強調。

 今回のガイドライン案には、効率的な練習、科学的トレーニングを推進する記述もある。以下がその抜粋だ。

<運動部顧問は、スポーツ医・科学の見地からは、トレーニング効果を得るために休養を適切に取ることが必要であること、また、過度の練習がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、必ずしも体力・運動能力の向上につながらないこと等を正しく理解するとともに、生徒の体力の向上や、生涯を通じてスポーツに親しむ基礎を培うことができるよう、生徒とコミュニケーションを十分に図り、生徒がバーンアウトすることなく、技能や記録の向上等それぞれの目標を達成できるよう、競技種目の特性等を踏まえた科学的トレーニングの積極的な導入等により、休養を適切に取りつつ、短時間で効果が得られる指導を行う。

 また、専門的知見を有する保健体育担当の教師や養護教諭等と連携・協力し、発達の個人差や女子の成長期における体と心の状態等に関する正しい知識を得た上で指導を行う>

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