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MLBで日本人初の女性トレーナーに。
父は2000本安打、谷沢順子の挑戦。
posted2018/02/21 08:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
「やっと俺を超えたな」
電話越しに父はこう言った。娘が新たなスタートラインにつくことを、まるで自分のことのように喜んでいた。
「下っ端からだから、学ばないといけないこともたくさんあるし、まだ超えられていないよ」
父親に褒められてちょっと照れくさい。でもうれしかった。
スプリングトレーニングを控えた2月1日、アリゾナダイヤモンドバックスは新たなチームスタッフを発表した。
谷沢順子(マニュアルセラピスト兼アスレチックトレーナー)。
メジャーリーグで初の日本人女性アスレチックトレーナーが誕生した。これまで日本人男性が採用されたケースはあるが、女性にとっては狭き門だった。それを谷沢がこじ開けた。
「ダイヤモンドバックスから採用の連絡が来た時はうれしすぎて、信じられなかった」と振り返る。
高く評価されたのは、勉強熱心さ。
メジャーリーグへの就職活動を始めたのが10月。吉報を受けるまでの4カ月間は焦りや不安もあった。
今回、谷沢の採用を決めたヘッドトレーナーのケン・クレンショウは「(アスレチックトレーナーのポジションに)たくさんの応募が来たけれど、ジュンコは持っている知識を現場で使うことができるし、何よりも勉強熱心な部分を高く評価した。やる気があるから、すぐにチームに溶け込むと思う。ただ、もっといいアスレチックトレーナーになるために、我々スタッフと密にコミュニケーションをとって技術を磨いてほしい」と大きな期待をかける。