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水谷1強時代終焉と張本智和の異能。
変化に適応した者だけ生き残る卓球界。

posted2018/01/24 17:00

 
水谷1強時代終焉と張本智和の異能。変化に適応した者だけ生き残る卓球界。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

まだまだ成長途上の14歳の張本。どう変化していくのか? 世界でもその戦い方が通用するのか……将来に大きな期待がかかる。

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川嶋弘文(Rallys編集部)

川嶋弘文(Rallys編集部)Hirofumi Kawashima

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Itaru Chiba

 21日まで行われた今年の全日本卓球選手権で14歳の張本智和が最年少での優勝を果たした。

 決勝で張本と戦った水谷隼は、本大会で12年連続で決勝進出し、うち9回の優勝実績を持つ男子卓球界の第一人者。

 その水谷に「今日の彼の力が100%なのであれば、僕は何回やっても勝てないだろう。他の日本選手も誰も勝てない」「中国選手並みに強い」「張本が出て来る前に沢山優勝しておいて良かった」と言わしめるほど、張本は圧倒的な強さを見せた。

張本智和はなぜ強いのか?

 水谷は張本の成長スピードの速さについて「一番は本人の努力」「エリートアカデミーでコーチ、練習相手、フィジカルトレーナーがいる最高の環境でトレーニングできていることも大きい」と試合後の会見でコメントした。

「特にバックハンドは世界トップクラス」「中国の若手で最も期待されている樊振東(ファン・ジェンドン、世界ランク2位)のよう」と話すように、決勝でも張本の高速バックハンドが水谷のフォアを“ノータッチ”で抜けるシーンが何度も見られた。このプレーの背景には、卓球の戦い方が世界的に様変わりしつつあるというトレンドの存在があるのだ。

戦術の大きな転換点となったのは2015年。

 日本の卓球は、従来「男子はパワーで勝負。台から下がってでもフォアハンドで決める」「女子はテンポの速さで勝負。台の近くに立ちフォアとバックの両方を使いこなしてスピードを活かして試合を進める」というセオリーが浸透し、長年指導がされてきた。

 そのセオリーの転換点となったのが、2015年のことだった。

【次ページ】 パワーと速いテンポを両立し、台の近くで両ハンド速攻!

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