第94回箱根駅伝(2018)BACK NUMBER
「箱根駅伝総合優勝だけは譲れない――」
古豪・早稲田大学が見せるプライド。
posted2017/12/01 14:20
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
AFLO
全日本大学駅伝を7位という結果で終え、3大会ぶりに同駅伝のシード権を失った直後、早稲田大学の相楽豊駅伝監督はこんな言葉でチームの不出来を嘆いていた。
「今年は“地味に強い”をテーマとしてやってきたんですけど、強いではなく地味な部分が目立ってしまった。ケガ人などで足並みがそろわなかったのが痛かったです」
強かった4年生が抜け、戦力ダウンが危惧される中、それでもチームは箱根駅伝総合優勝の目標を下げていない。ネームバリューのある選手は少ないものの、地道な練習をこなしていけばきっと駅伝シーズンには花が開く。指揮官にはそんな目算があったのだろう。
だが、出雲駅伝、全日本大学駅伝と立て続けにシード権を落とし、さすがに「今年の早大は大丈夫なのか?」との声も聞こえてくる。
20kmなら勝負できる選手が何人かいる。
近況を訊ねるため、小手指の練習グラウンドを訪ねると、相楽駅伝監督の表情は思いのほか明るかった。
「先日(11月19日)の上尾シティハーフ(マラソン)で良い芽が出てきたので。ケガ人も戻ってきて、チームの状態は上向きです」
いわゆる箱根駅伝に近い距離のレースで、主軸を担うであろう4年生が好走。最後に競り負けるという課題は残ったものの、これからの集中練習で十分カバーできるとの手応えをつかんだ。
箱根駅伝までは残りわずかだが、相楽駅伝監督はどのような戦略を頭に描いているのか。
「結果が出ていないのであれなんですけど、じつは上のメンバーは昨年並みの練習がきちんとできています。あとは中間層からどれだけ戦力が伸びてくるか。上尾で4年生の谷口(耕一郎)が40秒近く自己ベストを更新しましたが、地道なトレーニングの成果がようやくでてきた。他にも20kmなら勝負できるという選手が何人かいるので、ここからもうひと踏ん張りですね」