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萩野公介に連勝しても納得しない。
瀬戸大也、世界水泳3連覇への野心。
posted2017/07/21 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
7月14日にハンガリー・ブダペストで開幕した世界水泳選手権は、23日から競泳種目がスタートする。
日本競泳勢の中でも注目の1人が瀬戸大也だ。400m個人メドレー、200m個人メドレー、200mバタフライと3種目にエントリーしているが、2013、2015年の世界水泳400m個人メドレーで日本人選手では初めての連覇を果たしており、今大会では3連覇をかけて臨む。
瀬戸はかねてより、こう言われてきた。
「勝負強い選手」
2013年の世界水泳では大会前、決して注目を集める存在ではなかった。むしろライバルの萩野公介の方が脚光を浴びていたし、同年の日本選手権でも萩野に敗れている。だが世界水泳では決勝で自己ベストを出し金メダルを獲得。2015年も、日本選手権では萩野に敗れながら、やはり世界水泳の決勝で自己ベストを叩き出し、優勝している。
リオ五輪、萩野に負けたのはやはり悔しかった。
そんな瀬戸にとってつまずきとなったのは、リオデジャネイロ五輪だった。400m個人メドレーで銅メダルを獲得したものの、目標としていた金メダルは萩野が手中にした。
瀬戸はレース後、大会後も笑顔で振り返った。しかし悔しさを隠すことはなく、行動にも現れていた。帰国後、自費で国際大会に参加するなど、9月から12月までとにかくレースに出場し、泳ぎ続けた。3つの大会で計24種目に出場したこともある。
「東京オリンピックまで、オフが欲しいとか言ってられないです」
リオ決勝で予選からタイムを落とした点を反省し、もっとタフになりたいという思いがあった。
「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せませんから」
瀬戸はロンドン五輪代表を逃したあとも、しゃにむにレースに出場し、それが翌年の躍進につながった経緯がある。ある意味、原点に戻った、とも言えた。