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最後の夏……出場辞退はしたくない!
高校の「連帯責任」はもうやめよう。

posted2017/07/14 12:00

 
最後の夏……出場辞退はしたくない!高校の「連帯責任」はもうやめよう。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

教育の現場における裁量の幅が、昔と現在とでは大きく変わってきている。時代に即した教育方針が、いま部活動の場でも求められているのではないか。

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小塩康祐

小塩康祐Kosuke Ojio

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Hideki Sugiyama

< 質問 >

 僕は、高校で野球部に所属している3年生です。先日、部員の1人が万引き事件を起こしてしまい、夏の甲子園予選の県大会の出場を辞退するか……という雰囲気になっているんです。

 同じクラスのちょっとヤンチャなヤツが飲酒や喫煙といった不祥事を起こしても、同じクラスの生徒が連帯責任のような自宅謹慎等の処分を受けることは無いのに、なぜ野球部だけが対外試合の禁止や出場辞退などの連帯責任的な結末になってしまうのか全く分かりません。顧問の先生に聞いても、野球部は昔から連帯責任だと言うだけです……。僕にとっては最後の甲子園のチャンスで、高校3年間の集大成です。なんとか出場辞退を避けられないでしょうか。

< 回答 >

 はじめまして。弁護士の小塩康祐(おじお こうすけ)です。小学校、中学校と野球を、高校、大学はラグビーにどっぷりはまり、社会人となった今でもスポーツを続け、仕事でも関わり続けている法律の専門家です。

 スポーツを愛する読者の方々に少しでもお役に立てるような法律知識を、このNumber Web上で紹介していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 

「連帯責任」という考え方はもう古いのでは?

 夏といえば甲子園。ちょうど今も、各地で甲子園への切符をかけた熱戦が繰り広げられていますね。

 でも毎年のように、「日本学生野球協会が、◯◯高校を対外試合禁止とする処分をした」「名門、◯◯高校、部員の不祥事で地区予選への出場辞退」というニュースが流れてくるのは残念なことです。

 この高校スポーツ界における「連帯責任」について、私はずっと疑問に思ってきましたので、今回は高校野球を例に「連帯責任」について考えてみたいと思います。 

【次ページ】 「連帯責任」の根拠ってなんだろう?

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