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オリの若手投手が伸びる陰にこの男。
「勝己さんだとフォークが落ちる」

posted2017/06/30 07:00

 
オリの若手投手が伸びる陰にこの男。「勝己さんだとフォークが落ちる」<Number Web> photograph by Kyodo News

一軍こそがプロ野球の晴れ舞台である。しかし陰で支える山崎勝己のような人間がいなければ、その輝きは続かないのだ。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Kyodo News

 今年のオリックスの二軍には、近い将来、世間を驚かせる可能性のある20歳前後の生きのいい投手がゴロゴロいる。まさにエース候補を育成する農場(ファーム)となっている。

 そこでコーチとは違った立場で若手投手を教育しているのが、ベテラン捕手の山崎勝己だ。

「高卒ルーキーの3人、山本(由伸)、山崎(颯一郎)、榊原(翼)がいい球放ってますよね。その影響を受けて、2年目3年目のピッチャーが『もっとやらないと』となって、いい効果につながっていると思います」と嬉しそうに言う。

 2年目の20歳の右腕・吉田凌も、ルーキーにお尻をたたかれている1人だ。現在、ウエスタン・リーグで8試合に先発し4勝2敗、防御率1.23という好成績を収めている(6月28日時点)。

 その吉田は、「勝己さんは本当に投げやすい」と山崎に絶大の信頼を寄せる。

「勝己さんの言う通りに投げれば、まあ打たれることはないだろうという信頼感があります。例えば、『ここゲッツー取りたいからスライダーでいくよ』と言われて、『ハイ』って投げたら、その通りにゲッツーを取れた。『な、言ったやろー』、『ハイ! いつもありがとうございます』って感じです。

『あとあとのことを考えて、先にこれ使っとくよ』というふうに意図を言ってくれるし、不意にツーボールになったら間(ま)をとって、『凌、ここね』ともう一度スイッチを入れさせてくれたりする。やっぱり経験が違うなーと感じます」

 山崎は、「若いピッチャーはなかなか一軍で投げる機会が少ないから、ファームの試合でも、ただ単に抑えるんじゃなくて、一軍に行ってやるべきことを今から意識してやらせるということは、心がけています」と言う。

ピッチャーが投げたい球で、駆け引きする。

 3年目の20歳、鈴木優もこう話す。

「バッターとカウントだけで配球をされるとなかなかきついんですけど、勝己さんはピッチャーのことも要素に入れて考えてくれて、ピッチャーが投げたい球を投げさせながら、バッターとの駆け引きもしてくれます。打たれても、『オレの配球が悪かった』と言ってくれる。これだけ歳が離れていてもそう言ってくれる人って、すごいなと思いますし、話していても勉強になります」

 厳しいコースばかりで勝負しなくてもいいように、前々から布石を打ち、投手が楽な状態で勝負できるようリードする。特に若手にはありがたい包容力のある女房役と言えるだろう。

【次ページ】 一軍から落ちた投手に「キャッチャーと話したか?」と。

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