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「バレー人生すべてを懸けて闘う」
中田久美新監督、東京五輪で頂点を。

posted2017/05/11 08:00

 
「バレー人生すべてを懸けて闘う」中田久美新監督、東京五輪で頂点を。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

'80年代から'90年代にかけて全日本の中心に君臨した中田監督。そのカリスマ性で若き選手たちを束ねる。

text by

吉井妙子

吉井妙子Taeko Yoshii

PROFILE

photograph by

Naoya Sanuki

'17年春からバレーボール全日本女子を率いる新指揮官は、「バレー界への最後の恩返し」という熱い思いを胸に、世界の頂、東京五輪での金メダルを目指して始動する。
Number特別増刊号(2017年1月14日号)のインタビューを全文掲載する。

 全日本の監督就任以来、多くの人たちから「大変だね」とか「苦労するね」と声をかけられます。女子バレーは注目競技。母国開催でメダルが期待されているにも拘らず、リオ五輪では準々決勝で敗退したように、世界との差がまた広がってしまいました。そんな現実を踏まえ、労いの言葉をかけていただけるんでしょうが、私はその言葉を聞くたびに、心密かに燃えています。難しいからこそ遣り甲斐があるし、厳しい現実があるからこそ、挑戦のし甲斐もあるんです。

 女子バレーは、'64年の東京五輪の金メダルからスタートしました。そして再び東京で五輪の舞台を用意された以上、同じ色のメダルを目指すのは当然のこと。いや、金を目標にするとそこに辿り着くのはなかなか難しい。そこで私は、その先、つまり130%の能力を発揮できるようなチーム作りをしたいと考えているんです。

選手に一瞬でも思考のロスをさせたくはありません。

 日本バレーボール協会は10月25日、全日本女子監督に中田久美氏(現久光製薬スプリングス総監督)を起用することを発表した。中田氏は2012年に久光製薬スプリングスの監督に就任して以来、初年度から皇后杯、V・プレミアリーグ、黒鷲旗全日本男女選抜大会、日韓V.LEAGUE TOP MATCH、国民体育大会で優勝し、女子チームで初の5冠を達成。以来、久光は国内で常勝街道をひた走っている。その実績を買われ、満を持して抜擢された。2020年東京五輪で指揮を取れば、日本バレー界初の五輪女性監督になる。

 私の頭の中ではすでに、1年後、2年後、あるいは4年後の青写真は出来上がっています。ただ、これはあくまで私の中でのプランなので、まだ公言は出来ません。正式に全日本を率いるのは2017年春からですし、選抜したい選手の考えや性格などを事細かに知る必要があり、また選手の所属チームとの調整も必要です。ですからまだ公にする段階ではないのです。

 ただ、スタッフも選手も少数精鋭で行きたい。スタッフは人数が多ければ楽な部分はありますが、その一方、責任の所在が分散してしまい、チームに緩みが生まれてしまいます。しかも選手が何かアドバイスを求めたい時、誰に聞いたらいいのか分からない状況が生まれます。選手に一瞬でも思考のロスをさせたくはありません。

【次ページ】 私にとって東京五輪はバレー人生すべてを賭けた闘い。

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