濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
新生K-1が“代々木第二を卒業マッチ”。
武尊が大爆発して、次はさいたまSAだ!
posted2017/04/25 08:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takao Masaki
スターは、アクシデントさえドラマに変えてしまった。
4月22日のK-1・代々木第二体育館大会でのことだ。負傷欠場からの復帰戦に臨んだフェザー級王者にして新生K-1最大の人気選手である武尊(たける)は、アメリカのビクトー・サラビアと対戦した。
パンチの打ち合いからお互い舌を出して挑発するなど盛り上がりを見せる中、3ラウンドにサラビアのバックキックが武尊の金的を直撃。倒れ込んだ武尊は嘔吐に加えて震えもあった。それでも立ち上がると、猛然とラッシュを仕掛け、ついには左フックでKOしてしまう。
場内の盛り上がりは大変なものだった。
アクシデントはないほうがいいに決まっているとはいえ“普通に勝つ”より何倍もインパクトがあったのは間違いない。
圧巻KOの武尊が見せた、技術と気迫の連動。
「(金的攻撃で倒れても)これが殺し合いなら負けなので、早く立ちたかった。試合中断は、見てるお客さんには無駄な時間ですし」
とてつもない負けん気とプロ意識だ。昨年11月以来、欠場していた理由は右拳の負傷。だから左のパンチと蹴りを徹底的に鍛えてきたと武尊は言う。
確かに、この復帰戦でのフィニッシュブローは左フックだった。顔面にパンチを当てる伏線になったのはボディ攻撃。
新しく身につけた、左の三日月蹴りである。