野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
暗黒時代の終焉と、三浦大輔引退と。
DeNAとファンが諦めと決別するまで。
posted2016/09/29 10:30
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
NIKKAN SPORTS
この期に及んでも気が乗らない。どうせ感傷的な記事になることはわかりきっているからだ。
この「野次馬ライトスタンド」も、更新しないまま半年以上の月日が流れた。今シーズン、インタビュー以外のベイスターズに関する記事を書けなくなったからだ。
自分は嫌なファンだと自覚している。コラムでは、期待されるような原稿は書けない。この半年、編集部から何度も案を貰っても、書いてみては消す。その繰り返し。散々待たせて結局放り出した挙句、この原稿も1週間以上待ってもらっている。本当にごめんなさい。
そして、横浜DeNAベイスターズがクライマックスシリーズ初出場を決めた。
2007年にセ・リーグにクライマックスシリーズが導入されて以降10年。12球団で唯一出場のなかったチームが、お題目のように唱えていた「CS」にようやくたどり着くことができた。
「あとは勝つだけですよ」と何度耳にしたことか。
本当に長かった。
勝率3割台でダントツの最下位に沈んだ2008年からの5年間。多くの愛しい選手が去り、監督が去り、ファンが離れていった。2010年、親会社の球団売却報道が出た時は最悪の事態まで覚悟した。
DeNAが親会社となった2012年、「3年でCS、5年で優勝」という言葉も安易に信じられることはなく。若い選手が芽を出し、観客動員数が倍増し、前半戦を首位で折り返したとしても、順位は6位、5位、5位、6位だった。
どんな高尚な理想があったとしても、プロ野球は結果がすべてだ。チームが勝てなければいつかはファンが離れていく。優勝を望める場所でのプレーを求め、選手が離れていく。誰かが責任を取らなければならなくなる。
「あとは勝つだけですよ」
そんな言葉を、現場、フロント、ファンから何度耳にしただろうか。