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実は王貞治も評価した逸材だった。
ホークス城所龍磨が打撃で開眼!

posted2016/05/25 07:00

 
実は王貞治も評価した逸材だった。ホークス城所龍磨が打撃で開眼!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月18日の日本ハム戦、7回に代打で打席に入った城所は、実に9年ぶりの本塁打となる3ランを放った。試合後には「やってもうた」のコメントも。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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NIKKAN SPORTS

 3195日ぶりのプロ2号弾。

 3578日ぶりの本拠地ヒーローインタビュー。

 5月18日、プロ13年目の城所龍磨が一躍時の人となった。

 値千金の3ラン本塁打が飛び出したのは、ファイターズ戦のラッキーセブンの攻撃だった。その時点でホークスは2対1とリードしていたが、得点はソロ本塁打2発のみ。6回までに繰り返しチャンスを作れども10残塁の拙攻では、勝っていてもフラストレーションの溜まる試合展開だった。その停滞感をひと振りで打ち破ったのだ。しかも代打で登場しての大仕事だ。

「球場のお客さんも、まさか、ボクが代打で行くなんて思ってなかったでしょ。大丈夫か? そう思ったはずです」

 試合後のお立ち台では自虐的なコメントで笑いを誘った。冗談半分、だが、本気も半分。城所の言わんとするところは、ファンも分かっている。スタンドの反応もドッと笑いが起きるというより、なんだか妙に納得してしまっているような不思議なムードだった。

ソフトバンクお墨付きのベンチウォーマー。

 城所がどんな役回りなのか、ホークスファンはよく知っている。俊足強肩の外野手。守備固めや代走要員としてずっとメシを食ってきた。昨年まで一軍出場は589試合を数えるが、通算安打は48本しか打っていない。

 それでも一定の人気を誇る。球団もそれに乗じて、'14年シーズン中に城所グッズを製作した。Tシャツやタオルマフラーには似顔絵とともにこんなコピーがつけられた。

「キドコロ待機中」

 球団は「終盤ゲームをリードした場面での守備固めや代走で登場し勝利に貢献する城所選手を応援するグッズ」と説明した。カッコよく言えば、野手版の勝利の方程式だ。だが、言い換えれば、球団お墨付きのベンチウォーマーというわけである。

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