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'16年型ホークス打線がついに完成!
5番の“求道者”長谷川勇也の変化。
posted2016/05/11 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
横綱が自分のカタチになれば強いに決まっている。
ホークスが「100勝」しそうな勢いで突っ走っている。4月9日からの1カ月で、負けたのはたった2試合しかない(5月8日まで17勝2敗2分)。
今季、王者に数少ない不安材料があるとすれば、5番打者の穴だった。昨年5番にどっしりと座っていた李大浩が海を渡りシアトル・マリナーズに移籍。3月25日の開幕戦では俊足巧打タイプの明石健志を起用。キューバ生まれのカニザレスも据えてみたが、どちらも機能しなかった。
その後しばらくは6番を打っていた松田宣浩の打順を上げた。十分に中軸を任せられる強打者だ。しかし、工藤公康監督の構想は違った。
「3番から7番までは左右ジグザグの打線を組みたい。こうなると、相手ベンチも継投策に悩む。ワンポイントのために投手をつぎ込むか、先発投手を引っ張るか采配が難しくなるからね」
完成した'16年型ホークス打線、5番長谷川の復調。
4月30日以来、長谷川勇也が5番に落ち着いている。3番の柳田悠岐から、内川聖一、長谷川、松田、中村晃と続く、工藤監督が2月のキャンプ時から追い求めていた'16年型のホークス打線が完成した。
長谷川は'13年の輝きを取り戻したような活躍を見せている。その年は198安打、打率.341で打撃2冠に輝いた。
しかし、'14年シーズン終盤に右足首を捻挫。その時が激しい優勝争いの真っ只中だったために代打限定ながら出場し続けた影響からか、そのオフに手術を行ったがその後の回復が遅い。昨季は1軍わずか30試合の出場に終わった。
今季もスタートは大きく躓き、開幕から約1カ月は打点ゼロ、得点圏打率.000と苦しみもがいた。しかし、4月24日のファイターズ戦で、劣勢の8回に今季1号同点ソロ本塁打を放つと、その日を境にバットの快音を積み重ねている。