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男子レスリングの五輪出場枠が半減!
ロンドンからの4年で何が起こったか。

posted2016/05/11 10:40

 
男子レスリングの五輪出場枠が半減!ロンドンからの4年で何が起こったか。<Number Web> photograph by Kyodo News

日本男子のエースと目される高谷惣亮。2014年の世界選手権では銀メダルを獲得。得意のタックルでメダルを手にできるか。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Kyodo News

 半ば予感はありつつも、現実となってみると、やはり衝撃的だ。

 5月6~8日、レスリングの出場枠をかけたリオデジャネイロ五輪世界最終予選が行なわれた。全12階級のうち、すでに確保している4階級以外の獲得を狙った日本男子レスリングだが、選手が出た8階級すべてで敗退した。これまでの歴史を考えれば、わずか4階級しか五輪に出られないという事実は、極めて重い。

 春先、2度ほど女子レスリングの合宿の取材をする機会があった。

 その折、心配な話題としてあがったのが男子のことだった。リオデジャネイロ五輪にどれだけ選手を派遣することができるか、ということだ。それだけ、危機感が強まっていたのだ。

 最初にレスリング界が大きな危機に包まれたのは、昨年9月の世界選手権のときだ。

 この大会はリオデジャネイロ五輪出場枠を争う最初の場でもあった。各階級で5位以内に入れば、枠が確保できることになっていた。

 男子はフリースタイル、グレコローマンそれぞれ6階級、あわせて計12階級に出場したが、出場枠を獲得できた階級がゼロだったのである。これは史上初のことだった。そして、日本レスリングの地盤沈下が浮き彫りになった瞬間でもあった。

ロンドンでは8階級で出場、3つのメダルを獲得。

 世界選手権で枠を獲れなかった国を対象に、その後、アジア予選、2度の世界予選と計3度、出場枠を獲得する機会が設定されていた。

 まず3月のアジア予選で、日本はフリースタイルで2、グレコローマンで2、計4階級での出場枠を獲得した。だが、4月22~24日の世界予選では、両種目ともに新たに出場枠を獲得できなかった。そして、世界最終予選でも枠を増やすことは叶わなかった。

 近々のオリンピック3大会ではどうだったか。メダル獲得数とあわせて並べる。

<ロンドン五輪の出場階級>(結果=金1、銅2)
フリースタイル 5階級
グレコローマン 4階級

<北京五輪の出場階級>(結果=銀1、銅1)
フリースタイル 3階級
グレコローマン 3階級

<アテネ五輪の出場階級>(結果=銅2)
フリースタイル 5階級
グレコローマン 4階級

【次ページ】 ソ連の崩壊が世界のレスリングの層を厚くした。

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