パラリンピックへの道BACK NUMBER
ハンドボールから転向して一年。
パラ陸上異色の代表候補・辻沙絵。
posted2016/04/29 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shingo Ito/AFLO SPORT
リオデジャネイロ五輪の代表選考が進んでいるように、リオデジャネイロパラリンピックの代表選考も進行している。
水泳は、3月の選考会が終わり、代表推薦選手が決定(パラリンピックの場合、各競技団体が代表選手を日本パラリンピック委員会に推薦。その後手続きを経て、代表選手に決定する)。
いよいよ佳境を迎えようとしているのが、パラ陸上とパラ柔道だ。
まずパラ陸上は、選考会の1つ、日本パラ陸上競技選手権大会が、鳥取市で4月30日と5月1日に開催される。男女計約200名がエントリー、計14種目が実施される。
パラ陸上はまた、「昨年の世界選手権で金メダルまたは銀メダルを獲得した選手」など、いくつか選考方法がある。
また、国内でも複数の選考対象大会があるが、今大会は選考会として柱の1つである。代表推薦選手となるには、国際パラリンピック委員会による参加標準記録A、日本パラ陸上競技連盟が設けた選考基準を満たさなければならない。そのための大会は、残り少なくなってきている。
そういう意味で、国際パラリンピック委員会公認の日本パラ陸上は、選手にとって大切な大会だ。
異色の経歴を持つスプリンター、辻沙絵。
すでに昨年の世界選手権で、代表推薦選手の資格を得ている選手にとっては、自身の進化を確かめる場である。
そして初めてのパラリンピック出場を目指す選手たちにとっては、大舞台へ向けて、まさに挑戦の場となる。
その一人、辻沙絵は異色の経歴を持つスプリンターだ。
生まれつき、右ひじから下が欠損している辻は、もともとは、ハンドボールの選手だった。健常者のハンドボールに取り組み、一歩も引かずにプレーしてきた。
そして日本体育大学にスポーツ推薦で進学。大学でもハンドボール部に所属していたが、学内の発掘プロジェクトでパラ陸上へと転向した。昨年3月のことだ。