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リバプールの観戦ボイコット事件!
観客はカスタマーか、ファンか。

posted2016/02/13 10:40

 
「私は顧客ではない、ファンだ」という抗議文を掲げる人々の声はリバプール経営陣にどれほど届くのだろうか。

「私は顧客ではない、ファンだ」という抗議文を掲げる人々の声はリバプール経営陣にどれほど届くのだろうか。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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AFLO

 2月6日のプレミアリーグ25節、リバプールはホームでサンダーランドに勝ち損ねた(2-2)。降格候補に引分けに持ち込まれたわけだが、アンフィールドの観衆はホームで勝利を手にしたと言えるかもしれない。

 リバプールのサポーターが「足で語った」のは終盤の77分。推定1万人が、試合の4日前に発表された来季観戦チケット料金に対する抗議として席を立った。現行の59ポンド(約9800円)から値上げされた「77ポンド(約13000円)」のメインスタンド席の新料金と同じ分数に、「Enough is enough(いい加減にしてくれ)!」と声を上げながら大挙してスタンドの出口へと向かった。

 後半の11分間で1ゴール1アシストを記録したロベルト・フィルミノよりも、ラスト10分間で2点差を追いついたサンダーランドよりも話題を呼んだホームサポーターのパフォーマンスは、リバプールを所有する米国人オーナーの目と耳にも即座に届いた。試合当日中に緊急役員会議が招集され、4日後には「判断を誤った」と認める謝罪声明と共に料金据え置きというクラブ側の判断撤回を見たのだった。

 プレミアのテレビ放映権料が高騰の一途を辿る中、各クラブのサポーターたちは、収益規模が拡大し続けるクラブから長年の「お得意様」として利益還元を受けるどころか逆に「カモ」にされ、より高額のチケット代を支払わされてきた。ただ今回の観戦途中ボイコットについて、支援する識者の声は多くても実効性に期待する意見は少なかった。

席に留まったファンも、同志に向けて合唱。

 元リバプールDFで解説者のマーク・ローレンソンも悲観的な見方をしていた1人。「ファンの抗議が当然なら、メインスタンドを改装したクラブが工事費用を回収したがるのも当然。観戦を止めたところで、シーズンチケットの予約待ちが数万人もいるクラブでは別のファンがチケットを買うだけの話だ。残念だが無駄骨に終わるのがおちだろう」と、諦めムードだった。

 全てのリバプール・ファンがスタジアムを後にしたわけではなかったと指摘する報道もあった。だが、席に留まったファンが値上げを素直に受け入れているわけではない。スタンドでは「カスタマーではなくファン」、「ファンなくしてクラブは成り立たない」といったメッセージが掲げられ、スタジアムを去る同志に「一緒にいるぞ」と歌いかけるように、クラブ讃歌の『ユール・ネバー・ウォーク・アローン』も合唱された。

【次ページ】 クラブの大きな譲歩を引き出したが……。

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