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村田諒太、遂に年内の世界戦を明言!
絶対王者を上回る速度で頂に立つ。
posted2016/02/02 10:30
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
WBC世界ミドル級5位、IBF同5位につける村田諒太(帝拳)が1月30日、中国の上海オリエンタル・スポーツセンターのリングに上がり、ガストン・アレハンドロ・ベガ(アルゼンチン)に2回KO勝ち。力の差を見せつけて快勝した。
2012年のロンドン五輪で日本人選手として48年ぶりのボクシング金メダルを獲得し、翌年プロデビューして以来、注目を浴び続けてきた村田。はたして世界挑戦は目前に迫っているのか? ゴールデンボーイの2016年は―─。
上海のベガ戦は結果だけでなく、どうしてもスカッとした内容のほしい一戦だった。デビューから8連勝と数字だけ見れば順風満帆の戦績を収めていたものの、ここ数戦の内容は決して自他ともに納得のいくものではなかった。
特に昨年11月に初めてラスベガスのリングに上がった晴れ舞台では、実力で劣るニュージーランド人を仕留め切れずに消化不良の判定勝ちに終わった。メディアの反応もパッとせず、村田をアメリカでプロモートするトップランク社の総帥、ボブ・アラム氏も渋い表情。何より村田自身が「最低の試合」と口にするほどだった。
全勝、金メダル……。守りたい気持ちを捨てて。
この結果に村田は悩み、自分なりの答えを見出した。上海での試合が決まった1月の記者会見では次のように語った。
「前回の試合を見ると、重心が後ろに残っていた。これでは強いパンチが打てない。自分のどこかに、金メダリストであること、全勝で来ているのを守りたいという気持ちがあったと思う。男らしくないですね。そういう気持ちの部分が、試合にも出ていたと思うんです」
そういう気持ち―─。村田はさらに続けた。
「金メダルを獲ったということで、プロに入った時点で120点もらっていたようなものなんです。それを守りたいというのは、人として好きじゃないタイプですよね。金メダルを獲って、デビュー戦で柴田さん(明雄=日本&東洋太平洋ミドル級王者)に勝って、CMにも出て、ボンボンボンと来た。そういうことを忘れて、新しい景色を見られたらいいと思います」