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二保旭、7年目のブレイクで年俸4倍!
飛躍をもたらした工藤監督の言葉。
posted2015/12/03 10:40
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
人生大逆転だ。
11月27日、契約更改に臨んだホークスの背番号13二保旭は、その提示額に思わず息を呑んだ。
それは見たこともない「ゼロ」の数。今季年俸750万円から一気の4倍増、3000万円で来季の契約を結んだ(金額はいずれも推定)。
「僕は育成枠でプロに入ったから年俸240万円からのスタートでした。だから、急に給料が上がってもあんまり実感がわかない。でも今年は、プロになって、やっと胸を張って、少しはチームに貢献したと言えるシーズンを送ることができました」
44試合6勝1敗5ホールド、防御率3.25と活躍した。また、試合数よりも多い52回2/3を投げた。ロングリリーフもこなす便利屋という役割も、2年連続日本一に欠かせなかった戦力として球団は高く評価したのだ。
1年前は真逆の心境だった。
戦力外も覚悟した6年目のシーズンオフ。
「昨年は1軍登板もなく戦力外を覚悟しました。秋にファームで登板するときは、これが最後になるかもしれない、と考えながらマウンドに上がっていました」
7年目となった今季にブレイクを果たすまで、1軍実績はわずか8試合の登板で0勝だった。おそらく二保本人は知らないだろうが、'14年のシーズン途中には交換トレードがまとまりかけたこともあった。
ところが、寸前で相手球団が別の投手を指名。トレード相手にもフラれるほど、野球人生の崖っぷちに立たされていたのだ。
「昨年の契約更改は、ホッとしたというのが率直な気持ちでした。それと同時に、もうこんな気持ちは味わいたくないと思いました」
腹をくくった。そのタイミングで工藤公康監督が就任した。それが二保の運命を180度変える転機となった。