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ヒョードル、把瑠都、高阪、桜庭……。
新イベント「RIZIN」はどこへ行く?

posted2015/11/15 10:40

 
ヒョードル、把瑠都、高阪、桜庭……。新イベント「RIZIN」はどこへ行く?<Number Web> photograph by Susumu Nagao

左からヒクソン・グレイシー、(パネルの)クロン・グレイシー、山本アーセン、山本郁榮。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Susumu Nagao

 格闘技界に、なつかしい“ざわつき”が戻ってきた。年末イベント・RIZINである。

 12月29日、31日にさいたまスーパーアリーナで開催、隣接会場では29-31日の3日間にわたって『格闘技EXPO』を実施するという特大スケールのイベント。榊原信行実行委員長、高田延彦統括本部長のコンビは、かつてPRIDEを率いただけに“PRIDE復活”を喜ぶファンも多い。フジテレビでの中継も決まった。

 しかし、単に“歓喜”ではなく“ざわつき”もともなうのが日本の特殊なところだ。年末のビッグイベントといえば、世間を意識した“飛び道具”も付き物なのである。

 たとえば、今大会では元大関・把瑠都ことホーヴェルソン・カイドの参戦が決定。立ち技格闘技シュートボクシングのトップ選手であるアンディ・サワーとRENAもMMAデビュー戦に臨む。エメリヤーエンコ・ヒョードル、高阪剛が現役復帰、桜庭和志vs青木真也も決定した。

 こうしたマッチメイクは、いかにも日本らしい、年末らしいものであり、かつスポーツとしては常識はずれのものだろう。「どうしてデビュー戦の選手がビッグイベントに出られるのか」、「最前線で活躍している選手にこそチャンスが与えられるべきではないのか」、「桜庭と青木では階級が違う」という批判は、しごく真っ当なものだ。

スポーツ志向に逆らうRIZINの“強さ”とは?

 RIZINでは、試合ごとに契約体重が設けられるものの、基本的に階級制は敷かないという。榊原氏いわく「変化球を投げたい」。つまり階級の枠にとらわれないマッチメイクをするということだ。

 PRIDEが活動休止となって以降、格闘技界ではUFCを頂点にルールと階級の整備、広まりが進んできた。いわばスポーツとしての真っ当な道を進んできたわけだ。それを基準にすれば、RIZINは時代に逆行し、時計の針を戻そうとしているように見える。

 ただ、格闘技にはスポーツとして割り切れない部分があるのも確かなのだ。なぜなら、追い求めているものが“強さ”という漠然とした概念だからである。空手やキックボクシングにしても、一つの“競技”に見えて、そこにはさまざまな流派・団体とルールが存在する。何をもって“強さ”とするのか。その考えが違えば、ルールも変わってくるのが格闘技なのだ。

【次ページ】 “テレビ格闘技”が訴えかける“最強幻想”。

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