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日本人初の王座に就いた浜崎朱加の勝因を探る。
~女子総合格闘技・世界No.1に~

posted2015/08/12 10:30

 
日本人初の王座に就いた浜崎朱加の勝因を探る。~女子総合格闘技・世界No.1に~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

会見でチャンピオンベルトを披露する浜崎。防衛戦は未定で「今は海に行きたい(笑)」。

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph by

Susumu Nagao

 これを快挙と呼ばずに何と呼ぼうか。『Invicta FC13』(7月9日・ラスベガス)で、浜崎朱加(AACC)がエリカ・チブリシオ(ブラジル)が保持するInvicta FCアトム級(47.6kg以下)王座に挑戦し、2―1の判定で王座奪取に成功した。

 '12年4月にスタートしたアメリカ唯一の女子MMAプロモーションで日本人選手が王者になったのは初めての出来事だ。5分5ラウンドという長丁場だけではなく、これまで一つ上のストロー級を主戦場にしてきた彼女にとってアトム級での闘いは今回が初めて。しかも、試合開始早々にエリカのフロントチョークで窮地に追い込まれてしまう。浜崎は苦しかったと振り返る。「でも、相手の力が抜けた時にうまく抜くことができて良かった」。

 それから4Rまでの試合内容は五分五分。では、最終回に浜崎はどうやってエリカを突き放したのか。今回セコンドに就いた日本女子MMAのパイオニア藤井惠は集中力がすごかったと読む。「勝ちに行かなければならない状況の中、平常心で闘えたことが勝因だと思います」。

運動不足解消で始めたMMAだったが、今や世界一に。

 浜崎は柔道出身。短大時代には全日本ジュニアの体重別選手権で準優勝に輝くなど将来を嘱望されたが、ケガに泣き、競技生活を断念せざるをえなかった。MMAとの出会いは勤務先のスポーツクラブに通っていた女子選手から話を聞いたのがきっかけだった。もっとも当初は運動不足解消が目的で、本格的にMMAに打ち込むようになるのは転職して十分な練習時間を持てるようになってからだ。

 眠っていた闘争本能が目覚めた。女子MMAの国内プロモーション「ジュエルス」で王座を奪取。その勢いでかつて藤井と並び国内では二強と呼ばれた辻結花から秒殺一本勝ちを奪って、その高いポテンシャルを見せつけた。アメリカ進出2戦目のクラウディア・ガデーリャ戦では得意のテイクダウンからグラウンドという展開に持ち込めずプロ初黒星を喫したが、それも全て今回の肥やしになった。

 私生活では衝動的に海外に渡航するなど周囲から「何を考えているのかわからない」と評されるが、「帰国してからの反響が大きくて、初めて(王座奪取を)意識しました」と笑う屈託なさも魅力だ。

 アメリカでは女子MMAの人気も上昇中。浜崎はその波に乗れるか。

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