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サマー・トレードと玉突き現象。
~プレーオフを懸けた夏の風物詩~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2015/07/31 18:00

サマー・トレードと玉突き現象。~プレーオフを懸けた夏の風物詩~<Number Web> photograph by Getty Images

ロイヤルズにも早速溶け込んだ気配をかもし出しているジョニー・クエト。トルネード風の投球フォームも個性的な、見ていて楽しい投手である。

 夏のトレード市場の締切りが近づいてきた。アメリカ東部時間で7月31日(金)の午後4時。あとわずかの勝負だが、通常はここから動きが急に加速する。玉突き現象が起きることも珍しくない。

 お断りするまでもなく、このトレードの基本的構図は明らかだ。ポストシーズン進出の可能性があるチームが、ポストシーズン進出をあきらめたチームから有力選手を獲得して弱点を補強する。なんともわかりやすく、ビジネスライクな構図だが、プレーオフ・スポットにいるチームでも泣きどころは多い。まして今季は、予想どおりの混戦だ。勝率が6割を超えるカーディナルスやロイヤルズでも、ちょっと油断するとたちまち立場が危うくなる。

 2015年の大型トレード第1弾は、ジョニー・クエト(レッズ)のロイヤルズへの移籍だ(交換相手はマイナーリーグの若手左腕投手3人。こちらも将来が楽しみだ)。

働き盛りのクエトはトレード市場の目玉だった。

 ご承知のとおり、クエトはレッズのエースだった。ドミニカ共和国生まれの29歳で、大リーグ歴は今季で8年目。2010年と12年にはレッズのナ・リーグ中地区制覇に貢献し、13年にもワイルドカードでポストシーズンに進出した。12年の成績は19勝9敗、防御率=2.78でサイ・ヤング賞投票の第4位。14年には20勝9敗、防御率=2.25の好成績に加えて、投球回数=243回3分の2、奪三振=242個(ともにリーグ最多)の好成績を収め、サイ・ヤング賞投票では2番目に多い票を集めている。

 つまり、クエトは働き盛りだ。今季こそ7勝6敗とやや物足りない成績だが、チームが44勝54敗(7月28日現在)と不振なのだから仕方がない。防御率=2.62、投球回数=130回3分の2、奪三振=120個は、けっして悪い数字ではない。

 クエトは今季、5年契約(総額3620万ドル)の最終年を迎える。そのせいもあって、「トレード市場の目玉」という声は開幕前から高かった。当然だろう。来季から契約を更新するとなれば、年俸1000万ドルを上回る複数年契約が結ばれることはまずまちがいないし、いまのレッズには財政的にそこまでの余裕がない。

【次ページ】 先発陣が苦しいロイヤルズが獲得競争に名乗り。

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