SCORE CARDBACK NUMBER

傑作は信頼のなせるワザ? 選手と振付師の関係性。
~本郷理華&鈴木明子のチャレンジ~

posted2015/07/27 10:30

 
傑作は信頼のなせるワザ? 選手と振付師の関係性。~本郷理華&鈴木明子のチャレンジ~<Number Web> photograph by AFLO

本郷は中京大に進学。6月のドリームオンアイスで初披露となった演技で存在感を見せた。

text by

野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

PROFILE

photograph by

AFLO

 新シーズンへの戦略は、プログラム作り、なかでも“振付師選び”からスタートするといって過言ではない。

 多くの若い選手は、コーチが振付も行うことが多い。選手のレベルを理解し「アップテンポな動きが得意だから、スローな動きを練習させよう」などと、あえて課題を与える事も出来る。

 一方、トップ選手ともなると“世界で勝てるプログラム”を求めて、国外の有名振付師に依頼することが多い。

 羽生結弦は4月早々にカナダへ渡り、ショートはジェフリー・バトルに、フリーはシェイリーン・ボーンに依頼した。これは昨季と同じ顔ぶれで、コーチのブライアン・オーサーも「ショートはユヅルのリズム感の良さを生かし、フリーはドラマティックな世界観をふんだんに表現してくれる、最高の振付」と話しており、羽生との相性の良さは証明済みだ。

 また現役続行を表明した浅田真央は6月末、10年来の付き合いであるローリー・ニコルのもとでプログラムを作った。ショート『素敵なあなた』、フリー『蝶々夫人』、さらにエキシビション2曲と、わずか10日間で計4曲を制作。その早業は、長年の関係性があるからこそだろう。

本郷の振付が評価され、鈴木は「嬉しくて泣きそう」。

 そんな中、振付師として新たな一歩を踏み出したのが'14年に引退した鈴木明子だ。同門の後輩で、昨季世界選手権6位と活躍した本郷理華の振付を、コーチから依頼された。鈴木は「今まさに世界で活躍しようという理華のプログラムを作ることは責任も大きい。最初は戸惑ったし、怖かった」というが、「長年一緒にいたので理華の特徴をよく理解しているし、同門なのでコーチ達も振付に参加しながらシーズンを通して手直しを出来る」と考え、引き受けた。

 本郷の長所である力強さを前面に押し出せるシルク・ドゥ・ソレイユの曲を選び、本郷自身からも得意な動きを提案してもらいながら制作。初披露となった6月のアイスショーでは、本郷の長い手足を生かしたパワーと妖艶さ溢れる振付が見事で、観客は総立ちになった。その知らせを聞いた鈴木は「嬉しくて泣きそうになった」という。本郷も「明子さんが振付なので、細かい所まで直してもらっています」と笑顔を見せた。

 振付師選びには様々な願いが込められ、選手を輝かせる1曲が生まれるのだ。

関連コラム

関連キーワード
本郷理華
鈴木明子

ページトップ