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ある作家の死が描き出す、サッカーと文学の美しき関係。
~バルサ、マラドーナに愛された男~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2015/05/19 10:00

ある作家の死が描き出す、サッカーと文学の美しき関係。~バルサ、マラドーナに愛された男~<Number Web> photograph by AFLO

ガレアーノは著作で歴史的な試合のレビューをし、劇場での演劇と戦争になぞらえている。

 ある作家の死がサッカー界を悲しみに包んでいる。

 エドゥアルド・ガレアーノは4月13日、母国ウルグアイのモンテビデオで肺がんのために死去した。

 1971年発表の『収奪された大地。ラテンアメリカ五百年』で知られるガレアーノは、歴史、政治、ジャーナリズム、スポーツを結びつけた初の作家とされ、その著作にはサッカーが度々登場する。

 1995年に出版した『El futbol a sol y sombra(スタジアムの神と悪魔)』はサッカー文学史に残る名著で、世界中で翻訳され今も読み継がれている。

 ちなみに三部作の『火の記憶』を執筆したのは、彼がバルセロナに亡命した'70年代後半のことで、スペインサッカーとの関わりも深い。FCバルセロナはプレスリリースを出し偉人の死を悼んでいる。

「すべてのウルグアイ人と同じように、私は『ゴール!』と叫びながら生まれた。人生において男性は、女性や支持する政党から宗教までを変えることができる。変えられないのは愛するチームだけだ」との言葉にあるように、ガレアーノは根っからのサッカー好きだった。

マラドーナさえも追悼文を寄稿したほどの名作家。

 過去の名選手を懐古するだけではなく、メッシやネイマールなど、現代の選手について評価する言葉も、著書やインタビューに多く見られる。一般的に欧米では、サッカー選手は本を読まないと言われるが、ガレアーノは特にラテンアメリカでは現役選手にも広く知られた存在で、メッシはユニフォームをプレゼントしたこともあるそうだ。

「私は素晴らしいフットボーラーで、世界一の選手だった――しかしそれは夢の中のこと。起きている時は、足が木でできているかのように不器用だった。そして私は作家になることを決めた」

 マスチェラーノはガレアーノの有名な言葉をツイートし「夢を見ているときはみんな同じ。名作を残してくれてありがとう。やすらかにお眠りください、エドゥアルド」と結んでいる。ガレアーノがファンだったマラドーナも、アルゼンチンの有力紙に追悼文を寄稿。スペインでは『スタジアムの神と悪魔』など、彼の著作を再度読もうという動きもでている。

 サッカーへの愛が宿った数々の言葉は、その死後もサッカー界に影響を与え続けている。

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