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チェルシー進化の象徴、アザール。
使命は「得点」から「勝利の実現」に。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/02/21 10:30

チェルシー進化の象徴、アザール。使命は「得点」から「勝利の実現」に。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

スピードに加えて力強さを手に入れ、さらにピッチ上での存在感が増しているアザール。胸に日本語で息子の名前のタトゥーを入れていることでも有名。

 ジョゼ・モウリーニョが監督として復帰したチェルシーのキーワードは「エボリューション」。再就任2年目の今季、指揮官が強化に取り組むチームの攻撃は、その主眼が効果的なカウンターから積極的な攻勢の維持へと移行されている。

 この「進化」を可能にした触媒として、新たに攻撃の中枢となっているセスク・ファブレガスと、新1トップとして攻撃をリードするジエゴ・コスタの存在があることは言うまでもない。しかし、「進化」を最も象徴する選手を挙げるとすればエデン・アザールになるだろう。

 昨季末に「いつかはバロンドール(欧州年間最優秀選手賞)を手にしたい」と語っていた24歳のチャンスメイカーは、ワールドクラスへと邁進している。その成長は、今季のリーグ戦25試合とグループ突破が決まるまでのCL戦5試合の全てに先発出場という、チェルシー攻撃陣では唯一人の待遇で監督にも認められている。

 チーム全体を見渡しても、同じ待遇を受けている選手は、モウリーニョが大前提とする堅守に欠かせないCBのジョン・テリー、右SBとして攻撃参加の任務も負うブラニスラフ・イバノビッチの2名しかいない。

モウリーニョが「ザ・キッド」と呼ぶ信頼感。

 アザールは、入団2年目の昨季の段階でもスター選手ではあった。PFA(選手協会)選定の年間最優秀若手選手と、ファン投票によるチームの年間最優秀選手にも選ばれている。しかし、自身初体験のモウリーニョ体制下で、長年のキャプテンでもあるテリーと同等の絶対的信頼までは寄せられていなかった。

 昨季終盤には、監督との不和と移籍の可能性も噂されたほどだ。原因は、昨季CLで準決勝敗退が決まったアトレティコ・マドリーとの第2レグ後の発言。アザールが「カウンターはいいけど勝負をしかける用意がなかった」として、戦術への不満を唱えると、モウリーニョは守備面の怠慢で2失点に関与したアザールを、「背後のSBのために身を粉にできない未熟者だ」と戒めたのだった。

 もっとも、この不仲説は煽動好きな国内メディアの過剰な反応だった。たしかにアザールは、古巣リールの試合観戦に出掛けたオフ翌日に帰国が遅れ、練習をサボった罰としてメンバー落ちを命じられたこともある。だが、オスカルやウィリアンを含め、監督から「キッズ」と評される25歳前後の主力の中でも、最も師弟関係を強く感じさせるのは、モウリーニョが「ザ・キッド」と呼ぶアザールだ。

【次ページ】 ジェラードからボールを奪い取る守備面の成長。

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